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#デスゲーム
ぱほわ
180
#死亡遊戯で飯を食う
ユイ
121
#CR
8/|/aB(旧アイビー)
1,641
洋館の大広間に、ロタニア王国の死刑囚50人が集められた。薄暗い大広間の正面に青白く光る巨大モニターが見える。そこにはあどけない笑みを浮かべた銀髪ロングヘアーの少女の姿が映っている。
少女の名はシルヴィア•グラシ-。ロタニア王国の姫にしてデスゲームを開くため死刑囚達を集めた張本人である。
シルヴィアの赤い瞳が死刑囚達を見渡す。
「それでは、恩赦をかけたデスゲームを始めましょう。」
シルヴィアがデスゲームのルールを説明する。
彼女の頭にあるのは、デスゲームのことでも、
死刑囚達のことでもない。
彼女の頭の中にあるのはいつだって、余命3ヶ月の姉、ヘレナ•グラシ-のことだけだった。
話は数ヵ月前に遡る。
薬品と消毒液の匂いが漂う病室に和やかな声が響く。
「また負けちゃいました!!」
トランプを放り投げてシルヴィアが叫ぶ。
シルヴィアは姉のヘレナと、ヘレナの担当医の杉田と一緒に罰ゲームありの大富豪をしていた。
「全くもう。シルヴィアちゃんは詰めが甘いなぁ。」
大富豪で一位になったヘレナがシルヴィアの頭を優しく撫でる。ヘレナの手はひどく痩せ細り、点滴用の管が何本も刺さっている。
シルヴィアが杉田の方を睨む。
「杉田!!あなたもうちょっと手加減しなさいよこの藪医者!!」
「いやっすよ。チワワの物真似なんてクソめんどいですし。」
眼鏡をかけた白衣の青年、杉田がボソッと呟く。
「こらシルヴィアちゃん。杉田先生に藪医者なんて言っちゃダメだよ。私がこうしてシルヴィアちゃんと遊べるのは杉田先生達の治療のおかげなんだからね?」
ヘレナがシルヴィアのほっぺを指でちょんっと突く。
「ワン!!ワンワンワン!!ガルルルル……!!」
シルヴィアがチワワの物真似をしながら杉田への不平不満を垂れる。
「こらシルヴィアちゃん。病院であんまり大声出しちゃ……。」
シルヴィアを注意しようとしたヘレナがひどく咳き込む。
「お姉さま!?」
「まずい!!」
杉田はすぐさまヘレナを緊急治療室へと運ぶ。
一人残されたシルヴィアは己の無力さを呪った。
「どうしてお姉さまなんですか…….。変われるのなら変わってあげたい…….。」
シルヴィアがロングスカートの裾をぎゅっと掴む。手の甲に一滴の涙が落ちた。
ロタニア王国は人が最長で400年生きられる程医療が発達している。だが、発達した医療にも
限界はある。
「もって半年ってところですね。」
杉田が診察室でカルテを見ながら説明する。
シルヴィアは杉田の胸ぐらに掴みかかった。
「シルヴィアちゃん!!やめなさい!!」
車椅子に乗ったヘレナがそう叫び咳き込む。
ヘレナにはもはや妹を止める力すら残っていない。
「つまらない冗談言わないで頂戴!!」
「冗談でこんなこと言いませんよ。ヘレナ様の肺には、心臓には、脳には複数の難病及び疾患がある。ヘレナ様の身体は手術には耐えられない。我々に出来るのは、投薬治療によって少しでもヘレナ様の苦痛を和らげることだけです。」
感情を圧し殺したように杉田が言う。
「ふざけないで!!」
声を荒げ、肩で息をしながらもシルヴィアは内心気付いていた。ヘレナにはもうあまり時間が残されていないことを。
「シルヴィアちゃん、もういいんだよ。」
「お姉さま…….でも…….。」
「私、またシルヴィアちゃんと大富豪がしたいな。」
「……..はい。」
冗談めかして言うヘレナにシルヴィアが頷く。
大富豪をしている間、いつもより元気のないシルヴィアをヘレナは寂しそうな目で見ていた。
余命を宣告されてからヘレナの表情にはいつも 翳りが見えた。
(私にはお姉さまの病気は治せない。ならばせめてお姉さまには笑っていてほしい。)
シルヴィアはそう思い立ち、あの手この手でヘレナの笑顔を取り戻そうとする。
ある時は世界中から綺麗な花を集め花束としてヘレナに贈り、またある時は杉田と一緒に漫才をした。しかし、何をやってもヘレナはシルヴィアの顔を見て寂しそうな顔をするのだ。
「杉田ぁ、どうすればお姉さまを笑わせられますかねぇ……。」
病院の屋上でシルヴィアが疲れはてた顔で玉乗りジャグリングの練習をする。
「……ヘレナ様の容態も心配ですが、俺はシルヴィア様も心配ですよ。最近張り詰め過ぎです。気晴らしに漫画でも読んだらどうです?」
「気晴らし?あなた何悠長なこと言ってるの?
…….でも、確かに確かに漫画の中にお姉さまを笑わせるヒントがあるかもしれないわねぇ。」
思い立ったが吉日。シルヴィアは早速ロタニア王国の従者達にありったけの漫画をかき集めるよう命じた。
城の中のシルヴィアの部屋に夥しい量の漫画が 運び込まれる。
「うーん、どうしたらお姉さまを笑わせられるのかしら……あれ、何かしらこの漫画?デス….ゲーム…..?」
シルヴィアはデスゲームの漫画をぱらぱらと
読み始める。
「………。」
食い入るように47巻あるデスゲームの漫画を読む。気づくと夜が明けていた。
「………これだ!!」
デスゲームの漫画を読破し、シルヴィアが叫んだ。
コメント
1件
シルヴィアの姉への想いが痛いほど伝わってくるプロローグでした。デスゲームを開く理由がまさか余命僅かの姉を笑わせるためだったとは……。あそこまで必死に笑顔を取り戻そうともがく姿に切なくなりましたし、漫画の「デスゲーム」に閃くラストの畳み掛けも巧い。ただ、ここから本当にデスゲームが始まるとなると、シルヴィアの目的と手段のギャップがどう収束するのか気になりますね。続きが早く読みたいです。