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pn視点
「ん?あれ?トラゾーは?」
「あれ、確かに姿が見えませんね」
「なんか食料集めとくわ、とか言って家回ってなかったっけ?」
トラゾーは変なとこで抜けてるから心配になる。
本人はあまり納得いってないようだけど。
「ちょっと前にあの辺で見たんだけどな…」
「探しましょうよ、トラゾーさんいないとぺいんとさん止める人が減っちゃう」
「おいどういう意味だ!」
「分からなくもない」
「クロノアさんまで⁈」
こうやり取りしてるが、しにがみくんもクロノアさんも気が気でないと思う。
少しの間、トラゾーがいなかった時も見るからにテンションが下がっていた。
あいつが戻ってきた時に、あぁやっぱり4人だなって思ったんだ。
「あれ、なんかパンが変なとこに落ちてる」
しにがみくんの声でそこを見る。
とある家の前に散らばるようにして落ちているパン。
まるで、さっきまでそこに誰がいて何かの拍子に落としてしまったかのように。
嫌な予感がした。
そして、その家の中から微かに聞こえる聞き馴染みのある声。
それでも確かに聞こえた、助けて、という声。
「!!」
聞き間違えるわけがない。
その声を、俺が。
剣を構えてその家に押し入る。
俺のその急な行動を止めようとする2人を振り切って。
「ちょっ、ぺいんと、さ…ん……なっ⁈」
「こら、いきなり剣構えてどう、し…た……は?」
押し入った家の中には涙を流しながら苦悶の表情を浮かべるほぼ全裸のトラゾーと、その上に覆い被さっている俺たちより少し年上のような男が半裸でいた。
「あ、早かったね。残念、あとちょっとでトラちゃんのイイトコ見つけれたのに」
ハッと顔を上げたトラゾー。
俺らを見て固まったかと思うと掠れた声で叫んだ。
「ッッ⁈…や、だ…!、ぃやだ…っ…みないで、みないでくれ…!」
そんな泣きながら必死に顔を覆い隠すトラゾーの腕を無理矢理開かせてその男は下卑た笑みを浮かべこっちを見た。
トラゾーは絶望したよう目を見開いた。
その顔は体調を崩した時みたいに血の気が引いて紙のように白い色をしている。
「この顔も可愛いよねぇ、キミたちよく我慢できてたね」
ぷつりと頭の中で何が切れた。
その姿に、その泣いている顔に。
「…ぶっ殺す」
トラゾーに覆い被さる男をありったけの力で引き剥がした。
それでもまだ、男は下卑た笑みを浮かべていた。
「…しにがみくんは、トラゾーの傍にいてあげて」
力が抜けて座り込み俯くトラゾーをしにがみくんに託す。
「……僕の分、残しといてよ」
「クロノアさん、こいつ合気道で気絶させれます?」
「え、手加減できなくて死んじゃうかも」
クロノアさんは自分のパーカーを脱いでトラゾーの肩にかけた。
「ぺいんとしっかり押さえててね」
「はい」
そこで自分がやっと不利と悟ったバカな男が身じろぎをした。
まず3体1で勝てるわけないのに。
身じろぐ男に対してそれよりも早くクロノアさんが動いた。
がっと自分にも衝撃が来たが、そんなことより呆気なく気絶した男をどう地獄に落としてやるかを考えなければならない。
「僕たち、拠点に帰ってるね。どっちか戻ってきたら座標教えて」
「ん、りょーかい」
ぱっと2人の姿が消える。
「…さて、こいつどうしてやろうか」
「…簡単には殺さねぇ。地獄よりも苦しい思いをしてもらはないと」
「…ははっ、ぺいんと顔ヤベェ」
「そういうクロノアさんも超やべー顔してますよ」
ずるずると半裸の男を引き摺りながら偶然見つけた洞窟にとりあえず向かった。
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