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手脚は縛られたままベッドから縄を切り離される
身体をそのままシーツに巻かれ、その上からさらに縄で締め付けられた
部下に担ぎ上げられ隣の溶鉱炉へと連れ出される
中に入り作業部屋を抜け、丈夫な扉を開けるととても大きな溶鉱炉が鎮座する
赤赤と燃えたぎる溶鉱炉はこの場にいるだけで暑かった
細い階段があり、一周をぐるっと外周に通路が回されている
溶鉱炉の側だけ踊り場の様になり、少しだけ広く作られていた
俺は2階の細い通路に運ばれ、ボスの隣に立たされた
「‥‥そろそろ来たみたいだな」
「様子見て来ましょうか?」
「外にも人は配置してあるから大丈夫‥‥」
バァーン‥‥
ドンッ!!
パンパンっ!
ぶつかる音や銃声‥‥
不破さん達が来たのか
俺は手すりに身体を預けながら扉の向こうを気に掛ける
「どうした?身体が辛いか?」
「‥‥うるせぇ」
「お前も殺されるかも知れないんだから、俺に命乞いでもしてみたらどうだ?」
「お前の側にいるくらいなら自分で溶鉱炉に飛び込んでやる」
「まだ威勢は良いか。ますます俺のモノにしたくなる」
顔を触られ、横を向き手を振り払う
その時、重い鉄の扉が開いた
「わざわざ御足労かけましたね、不破さん」
「‥‥こや!」
男の声にこちらを見た不破さんと目が合う
その時後ろから不破さんを狙う男が鉄パイプを振り翳すのが見えた
「不破さん!後ろ!!」
振り向きながら脚を上げ、男を後方へぶっ飛ばした
「キミのところの子達、まだ結構いたんだね。これで最後かな?」
「‥‥フン。強いのがまだここに居る。それにコイツもいるしな」
男の手が俺を掴み無理矢理キスをされる
「‥‥‥‥いい加減にしろよ。ロウから離れろ」
「お前が勝ったらな」
手下の一人が銃を構える
それより早く不破さんが手を伸ばし引き金を引くと眉間に弾がめり込み、男は膝から崩れて倒れていく
もう一人の部下は機械の後ろに身を潜め、不破さんを狙う
「不破さん!あなたから見て2時の方向!」
「お前は黙ってろ!」
ボスの男は声を荒らげ、俺を突き倒した
肩を強打し顔が苦痛に歪む
銃声が聞こえる
だが、倒れてしまった俺からは何も見えない
蓑虫状態の今の体勢で足と腰をくねらせ、下を覗き込もうとする
視界の範囲内には誰も居ない
手すりや注意書きの看板
色々な物が視界を邪魔する
銃声に続き、男の悲鳴が聞こえた
残るはボスのみか‥‥?
俺が居る2階の奥の通路に人影を見た
「2階の奥側の階段上がった溶鉱炉側に居る!」
「うるさい!こっち来たら撃つからな!」
階段を上がる足音
きっと男は銃を構えて待っているはず
大丈夫なのか?
不破さんは軽快に駆け上り二階へやって来た
カチッ‥‥カチカチッ
弾が入ってない?
「弾が入って無いのは知ってるよ?」
「‥‥畜生、こうなったら‥‥」
俺は必死に隙間から様子を伺う
どうやら殴り合いをしているようだ
「不破さん!気を付けて下さい!」
「ありがとう、こや。ちょっと待っててね」
「何が待っててだ!お前らは今日ここで死ぬんだよっ!」
二人が揉み合っているのが一瞬見える
頑張って手すりの柵に頭を擦りながら上体を起こした
そして顔を上げた時
ドボンッ‥‥
何かが落ちる音
そして溶鉱炉に残る重々しい波紋
機械音しか聞こえない空間
何が起きた?
「‥‥不破さん?」
「不破さん!」
なんで返事が返って来ないんだ?
「不破さん‥‥嘘でしょ?」
「不破さん!返事して下さい!」
「やめて‥‥不破さん‥‥俺まだあなたに何も言って無いのに‥‥」
動かない体で必死にそちらに向かう
縛られた腕を力任せに解こうとしても解けず、手首に縄が食い込むばかり
いくら脚を動かしても数十センチしか移動できない
俺はここで何をしている?
そこに不破さんが居るのに!
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