テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
奨と蓮は、非常階段に書かれた未来の蓮からのメッセージを、何度も読み返した。
未来の自分が犯した過ち。
それは、二人だけの世界に閉じこもり、グループやメンバーの存在を忘れかけてしまったこと。
その結果、秘密の関係が明るみに出たとき、グループの絆は脆くも崩れ去ってしまった。
「俺たちが変えなきゃいけないのは、未来の出来事だけじゃない。俺たちの関係のあり方そのものなんだ」
蓮の言葉に、奨は深く頷いた。
その日から、二人の行動は変わった。
彼らはもう、秘密の場所でこっそり愛を育むことはしなかった。
その代わりに、メンバーとの時間を、何よりも大切にした。
練習中に誰かが悩んでいれば、二人で声をかけ、アドバイスを送った。
奨がリーダーとしてメンバーの意見を聞く場を設ければ、蓮がパフォーマンスリーダーとして、皆の意見をまとめていった。
互いに支え合い、皆を引っ張っていく二人の姿に、メンバーは次第に信頼を寄せていった。
それは、未来の奨が、グループを壊さないようにとリーダーとして必死で頑張っていた姿とは違った。
奨は、未来の過ちを繰り返さないように、蓮という存在を、誰にも言えない秘密にするのではなく、皆を繋ぐ最高のパートナーとして、周りに見せていった。
二人の関係は、公には恋人ではない。
だが、その絆は、他の誰にも真似できない、深く、確かなものだった。
蓮は、ステージで奨と視線を交わすたびに、未来の自分からのメッセージを思い出した。
「奨くんの夢を守るために…」
そして、奨もまた、蓮の横顔を見るたびに、胸の奥で誓う。
「蓮…今度は俺が、お前との未来を、JO1の未来を、この手で守るから」
二人の愛は、もはや二人のためだけのものではなかった。
それは、JO1という夢を、そして、そこに集うメンバーとファン、すべての人を守るための、最強の武器へと変わっていったのだ。
しかし、運命は、二人を簡単に許してくれなかった。
未来では無かったはずの、新たな人物が二人の前に現れる。
その人物は、二人の関係を疑い、巧みに罠を仕掛けてきた。
それは、未来の悲劇を回避しようとする二人の愛を試す、新たな試練だった。
そして、彼らは気づいた。
運命を変えるということは、新たな困難を生み出すことなのだと。