テラーノベル
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ある日、彼女は違和感に気づいた。身体が黙り込んでいる。
曖昧だった輪郭が、より曖昧になっていく。
あのリズムが来ない。
問いかけても、彼は笑って首を傾けただけだった。
「一緒に探そうよ」と言いながら、ポケットの中のスマホから目を離さなかった。
彼女は薬局に寄って、検査薬を買った。
その日の夜、電気をつけたまま、トイレの中で確認した。
プラスの印が、くっきりと浮かんでいた。
その瞬間、世界が音を立ててひっくり返った。
「そうか、私はもう、一人じゃないんだ」