テラーノベル
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病院の地下から響く機械音が、屋上まで伝わってくる。
ゴゴゴゴゴ……。
神崎は母親を見つめた。
「十四回目は……俺じゃない?」
母親は答えられずにいた。
「じゃあ、誰なんだ?」
「……分からない。」
「母さんが知らないなんて、おかしいだろ。」
神崎が詰め寄る。
母親は苦しそうに目を伏せた。
「私は研究から離れていたの。」
「あなたのお父さんが殺されてから、私はずっと逃げていた。」
「それでも、あなたを守るために……あなたの人生だけは監視していた。」
「だったら知ってるはずだ。」
「ええ。」
母親が神崎を見る。
「十三回目までは。」
その言葉に、神崎は黙った。
「十三回目?」
「あなたは十三回、同じ記憶を受け継いだ。」
「でも十四回目だけは違う。」
「何が?」
母親は震える手でスマートフォンを取り出した。
画面には、一枚の写真。
そこには病院の新生児室が映っていた。
ベッドの上には、まだ生まれたばかりの赤ん坊。
その足元に、白いタグが付いている。
**被験者番号:014**
神崎の呼吸が止まる。
「……赤ん坊?」
「三日前に生まれた。」
「誰の子だ?」
母親は答えない。
神崎がもう一度写真を見る。
赤ん坊の隣に置かれた資料。
そこに母親の名前がある。
「まさか……。」
母親が目を閉じる。
「その子は、あなたの遺伝子から作られた。」
「……俺の?」
「正確には、あなたの遺伝情報と記憶データを使って作られた子供。」
神崎の頭が真っ白になる。
「それが……十四回目?」
「いいえ。」
母親は首を横に振った。
「十四回目は、まだ始まっていない。」
「じゃあ、この子は?」
母親は小さく答えた。
「十四回目になるための器よ。」
突然。
屋上の扉が開いた。
黒いローブを着た男たちが現れる。
「動くな!」
神崎が拳銃を構える。
しかし。
「待って!」
少女が叫んだ。
「その人たち……。」
少女の顔が青ざめる。
「私を連れていった人たちです。」
神崎は銃口を向ける。
「全員、そこで止まれ。」
先頭の男が一歩進む。
「神崎悠真。」
「あなたを迎えに来ました。」
「断る。」
「拒否はできません。」
男が指を鳴らす。
その瞬間。
神崎の視界が揺れた。
「……!」
耳鳴り。
激しい頭痛。
そして、脳裏に無数の映像が流れ込む。
第一の人生。
第二。
第三。
第四。
第五。
次々と、自分の人生が再生される。
刑事。
学生。
医師。
記者。
犯罪者。
そして。
何度も同じ場所へ戻ってくる自分。
「やめろ……!」
神崎は膝をついた。
母親が叫ぶ。
「記憶刺激装置を使ってる!」
佐伯がローブの男へ飛びかかる。
「やめろ!」
銃声。
佐伯が肩を撃たれる。
「佐伯!」
「俺はいい!」
佐伯は傷口を押さえながら叫ぶ。
「神崎を連れて逃げろ!」
神崎は少女の手を掴む。
「行くぞ!」
屋上の反対側。
非常階段へ向かう。
だが。
その途中で、神崎は足を止めた。
「……待て。」
「どうしたの?」
少女が振り返る。
神崎は窓の向こうを見る。
病院の隣にある別館。
その最上階。
一人の少年が立っている。
年齢は十歳ほど。
白い服。
こちらを見ている。
少年はゆっくり手を上げる。
そして。
二回、指を鳴らした。
パチン。
パチン。
神崎の心臓が跳ねる。
母親が震える声で言った。
「……嘘。」
「どうした?」
「その合図……。」
母親は少年を見つめている。
「あなたのお父さんが使っていたもの。」
神崎は少年を見る。
少年の口が動く。
距離がありすぎて声は聞こえない。
だが、神崎には分かった。
少年はこう言っている。
**「お父さん。」**
神崎の背筋が凍る。
「……俺を?」
少年は頷いた。
そして窓に文字を書いた。
指先で。
曇ったガラスに、ゆっくりと。
**014**
神崎は言葉を失った。
その夜。
病院の地下。
誰もいない研究室。
一人の男がモニターを見つめていた。
白髪。
神崎と同じ顔。
十三話で映像に現れた男だった。
男は画面に映る少年を見る。
「ようやく起きたか。」
隣には黒いファイル。
表紙には、
**PROJECT REINCARNATION**
その下に、
**001 神崎悠真**
さらに、その下。
新しい番号。
**014**
男は笑った。
「十三回目までは失敗だった。」
「十四回目は違う。」
モニターに少年の顔が映る。
男は呟く。
**「あの子には、私の記憶を全部入れた。」**
そして最後に。
神崎の顔をした男が振り返る。
「これでようやく……。」
**「本当の私が、生まれる。」**
研究室の照明が消える。
暗闇の中。
モニターだけが赤く点滅する。
**PROJECT REINCARNATION**
**FINAL SUBJECT:014**
そして。
画面の隅に、新たな文字が浮かび上がった。
**「母体:神崎悠真」**
神崎はまだ知らない。
自分が追っていた「転生事件」は、人間を生まれ変わらせる実験ではなかった。
**一人の人間を、何度でも作り直す実験だった。**
た
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コメント
1件
第十四話読んだわ…。まさか神崎自身が「母体」だったとは、本当にゾッとする展開だった。父親そっくりの少年が「お父さん」って呼んでくるシーン、背筋凍ったよ。転生の謎が深まるばかりで次が気になりすぎる。リユさんの伏線の貼り方、めちゃくちゃ上手いわ!続きが待ちきれない🔥