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「私はね。奉仕をしているつもりなんだよ。日本国民としとの奉仕だ。どこもそうなんだが…大抵の場合は2極化してしまう。そっちの方が多分だがね、居心地が良いんだろう。それの元凶はマスコミだって事は、皆さん方がいちばん知っておられる筈だ。なにせマスコミなんだからね。ああ。しかし、私はマスコミ批判をしているわけではないよ。此処は言論の自由の国だ。私の産まれたとことは違ってね、国のトップをも自由に非難出来る。これは素晴らしいことなんだよ」
ホテル グランドハイアット エイジアの、ロビーに面した大階段を下りながら韓洋はにこやかに言った。
その周りの大勢の報道陣等は、韓洋が言い放った、
「私の産まれたとことは違ってね」
のフレーズに、優越的な笑みを浮かべていた。
韓洋の背後の布施は、群衆の中に不審な人物は居ないかと目を光らせていた。
記者の質問が飛ぶ。
「韓グループが、さくらテレビを買収するのでは?といった報道がありますが?」
「それは君らがやっている事だろう?私はね。やるとしても合法的にやるだけだよ。誰かさんみたいに逮捕されちゃあたまらんからね」
「総務大臣とは、この後どの様なお話を?」
「まあ、男女の話にゃならないでしょうな」
韓洋は笑った。
その直後に、エレベーターホールへ向かう救急隊員と警察官の姿が目に留まり、韓洋を取り巻く報道陣等も足を止めた。
つかつかとホテル支配人がやって来て、韓洋そっと、
「505号で自殺者です」
と言うと、韓洋はわざとらしく頷いた。
警察官の後を追って、捜査官らしき男女の姿が目に飛び込んだ。
その男の鋭い眼光は、しっかりと韓洋を捉えていた。
明確な意志を持った眼差しに、韓洋は一瞬戸惑ったものの、それを払拭させるべく、報道陣に語りはじめた。
「どうやら事故の様ですな。まあ、この世界じゃよく起こり得る事です。様々な人間が交錯する場所、それがホテルなんだよ。だがね、私はそんな世界が大好きなんだ!」