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恭平:「なあ真理亜ちゃん、俺の顔って……世界レベルにかっこええと思わん?」
リビングでくつろいでいた真理亜に、
満面の笑みで話しかけてきたのは、高橋恭平だった。
真理亜:「え、いきなり何言うてんの(笑)」
恭平:「いやいや、だって俺、かっこええって言われ慣れてるし〜?どこ歩いてても見られるし? ちょ、そこの鏡見てみ? 罪やん、これはもう」
そう言って、おどける恭平。
いつも通りの“天然ナルシスト”。
でも――今日の恭平は、少しだけ笑い方が違って見えた。
真理亜:(……なんか、無理してる?)
真理亜は直感でそう感じていた。
その夜。
たまたまリビングで二人きりになったとき、真理亜は思いきって声をかけた。
真理亜:「恭平くん。……無理して笑ってない?」
恭平:「……え?」
一瞬、恭平の顔から表情が消える。
けれどすぐに、いつものようにニヤっと笑った。
恭平:「ははっ、何それ〜。俺が無理するタイプに見える?」
真理亜:「うん、見えへん。でも……今日の笑い方、いつもとちょっと違った」
その言葉に、恭平の笑みがほんの少しだけ、崩れた。
恭平:「……なあ、真理亜ちゃん。忘れてるかもしれんけど俺ってさ、“みんなのムードメーカー”で、“バカで明るいキャラ”って思われてるやん?でもな、それって、俺が作った“仮面”なんよ。生まれたときから、誰にも必要とされてへんかった。捨てられて、施設回って……“誰かに笑ってもらわんと、俺の存在って意味ないんやろな”って思ってた。せやから、笑ってた。どんだけ寂しくても、しんどくても、“平気なフリ”して、明るくして……」
恭平は、視線を逸らして言葉を続ける。
恭平:「でもな、真理亜ちゃんが来てから、俺、自分でもよくわからん感情に揺れるようになった。誰かに優しくされると、照れる前に怖くなる。“期待してええんかな”って、思ってまうから……でも、君は……違うねん。俺の仮面ごと、見てくれる気がする。だから、怖くて。逃げたくて。でも、離れたくなくて……俺も、真理亜ちゃんのこと、好きやと思う」
それは、初めて見る**恭平の“素の顔”**だった。
どこかあぶなっかしくて、でも誰よりも純粋な眼差し。
真理亜は、胸の奥がじんわりと熱くなった。
真理亜:「……ありがとう、話してくれて。私、恭平くんのこと、もっと知りたいって思った」
そう告げると、恭平は一瞬驚いたような顔をして、
――ふっと、力を抜いたように笑った。
恭平:「……あかんな、俺。今の笑顔の方が、きっとブサイクやわ」
真理亜:「そんなことないよ。今の方が、ずっとええ顔してる」
その言葉に、恭平は赤くなりながらも、目を伏せた。
恭平:(もう、“明るいだけの仮面”には戻れへんな)
彼の“孤独”は、ようやく誰かに届いた。
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