テラーノベル
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「……おい橘、マジで全部把握してんのかよ」
校門を出てすぐの商店街。コロッケ屋の前に立ち、蓮は呆れたように隣を振り返った。
ゆうが注文したのは、蓮が中学時代から大好物だった肉屋の特製メンチカツと、甘めのラムネ。わざわざ高校の最寄り駅とは逆方向の、少し離れた商店街まで足を伸ばした甲斐があったというべきか、蓮の好みが完璧に的中していた。
「言ったじゃないですか、先輩のことなら何でも知ってるって」
揚がったばかりの熱々メンチカツを紙袋越しに受け取り、ゆうはニコッと笑って蓮に差し出す。
「ほら、熱いうちにどうぞ」
「……サンキュ」
受け取ったメンチカツを一口かじる。サクッとした衣の中から肉汁が溢れ出し、思わず笑みがこぼれた。昔、喧嘩に勝った日の帰りに仲間とよく食べた、あの味だ。
「……美味い」
「よかったです。先輩、すごく嬉しそうな顔してますよ」
蓮が照れ隠しにラムネの瓶を口に運ぶと、ゆうがその横顔をじっと見つめていた。その視線に気づいた蓮が「なんだよ、お前も食うか?」とメンチカツを差し出すと、ゆうは少しだけ目を丸くした後、いたずらっぽく微笑んだ。
「じゃあ、一口だけ……あーん、してください」
「っ……!? はあ!? お前自分で持てよ!」
「ダメです。先輩が『食うか?』って聞いてくれたんですから、先輩の手から食べたいです」
人通りのある商店街で、後輩に「あーん」を要求されるという拷問のような状況。蓮の顔は一瞬でメンチカツのソースよりも赤くなった。
「……断る! 恥ずかしすぎるだろ!」
「えー……じゃあ、ここで大声で『蓮先輩大好きです!』って叫びますよ?」
「やめろ! 狂気を感じるから本気でやめろ!」
真顔で言いのけるゆうの執着ぶりに、蓮は完全に降参した。周囲の目を気にしながら、小さく溜息をついてメンチカツをゆうの口元へ差し出す。
「……ほら、さっさと食え」
「ん……ふふ、ごちそうさまでした。先輩からもらうと、一段と美味しいですね」
満足そうに噛みしめるゆうの笑顔に、蓮は手で顔を覆った。
拳の強さでは誰にも負けなかったはずなのに、この後輩の「重すぎる愛」の前では、完全に形無しだった。
コメント
1件
ええ〜!!第5話、めっちゃ良かった😭💕💕 ゆうくんの「あーんしてください」は反則級の破壊力だよ…!蓮先輩が真っ赤になりながらも差し出しちゃうのがもう可愛すぎて、思わずニヤニヤ止まらなかった(笑) しかも中学時代の好みまで完全把握してるゆうくん、重すぎてこわいけど愛しかない…! 商店街の日常風景を舞台にしたこの距離感、たまらんね〜!次回も絶対読む!📖🔥
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