テラーノベル
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商店街を抜けると、街灯がポツポツと灯り始めていた。
「……たく、お前は本当に調子が狂う」
赤みが引かない顔を誤魔化すように、蓮は残りのラムネを一気に飲み干した。ガラス玉がカランと涼しい音を立てる。
「でも、ちゃんと『あーん』してくれましたね」
隣を歩くゆうは、心底満足そうに口元を緩めている。その横顔はどこからどう見ても、放課後の買い食いを楽しむ普通の男子高校生だ。だが、ふとした拍子に見せる強い視線や、決して蓮から離れようとしない足取りに、底知れない執着が透けて見える。
「……断ったら、お前本気で街中で叫びそうだったろ」
「当たり前です。先輩のためなら、恥ずかしいことなんて何一つありませんから」
迷いのない返答に、蓮は思わず苦笑した。かつて街を荒らしていた頃の自分は、他人に弱みを見せることを何より嫌っていた。だが今、こうして後輩に振り回され、素直になれない自分を暴かれているのは、不思議と悪くない気もしていた。
駅の改札前まで辿り着くと、ゆうが足を止めて振り返った。
「先輩」
「ん? なんだよ」
ゆうは蓮の制服の袖をちょんと引っ張ると、上目遣いでまっすぐに見つめてきた。
「明日も、図書室で待っててもいいですか?」
いつもなら「勝手にしろ」と突っぱねる場面だ。だが、夕闇に溶けるゆうの真剣な瞳を見ていたら、そんな強がりもどこかへ消えてしまった。
「……おう。ただし、静かに本読めるならな」
「! はい、約束です」
ぱっと花が咲いたように笑ったゆうの表情に、蓮の胸がまたしてもドクンと跳ねる。
元ヤンのプライドも、静かな高校生活も、この強引で一途な後輩のせいで少しずつ形を変えていく。それでも、明日が来るのをどこか楽しみにしている自分がいることに、蓮は静かに気づいていた。
コメント
1件
ああ、第6話、読ませていただきました!この回、めちゃくちゃ良かったです…。ゆうくんの「明日も図書室で待っててもいいですか?」って上目遣い、もう完全に蓮先輩のことわかってるじゃないですか(笑)。それに対して「おう、ただし静かに本読めるならな」って条件つけながらも承諾しちゃう蓮先輩の変化が、じんわり伝わってきて胸がぎゅっとなりました。元ヤンのプライドが後輩の一途さにほぐされていく感じ、すごく丁寧に描かれてて好きです。明日が待ち遠しくなる、素敵な終わり方でした🌷
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