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透き通った藍色がカラフルな光に包まれる12月。町々が暖かな光の中で眠りにつく頃、人気の少ない
薄暗い駅の改札をスキップ気取りで通る男の影 があった。
「はあ、なんて幸せな日なんだろう!」
その男は熱に浮かされたようにそう呟いた。心底幸せそうな顔をした彼はどこか夢見心地だ。
「終電前に帰れるなんて、幸せだ!」
「良かったな、日本。」
男の言葉に苦笑いを浮かべて返事をするのは彼の数少ない友人、独逸だ。
「それは日本が変なだけなんね…」
そして彼らのやり取りを一歩引いた目で眺める人物は、伊太利亜。今日も日本を待って会社に遅くま
で残りながらも碌に仕事をしなかった人物だ。
「お前は仕事をサボり過ぎだ。少しは日本を見習えよ。」
「嫌なんね!あんな社畜国家になんてioなりたくない!断固拒否なんよ! 」
「それ、私に失礼では…?」
町々を包み込む澄んだ空気とは裏腹に騒がしい会話を交わしつつ、彼らは各々の帰路に就く。日本が
終電を逃さずに会社を後に出来たことの他、何ら変哲のない光景だ。
「ねー、見て!」
「どうされましたか?」
「あそこの物陰、行き倒れてる人がいるんね!」
馬鹿げたことを言う。しかし、普段からどこかふわっとしている 伊太利亜なら言いかねないか。
「…あれ、国じゃないか?」
独逸まで、何を言い出すか。と思えば、伊太利亜はすでに物陰に向かって走り出していた。
「あ、待ってください!」
「勝手に行くな。」
続いて日本と独逸も走り出す。その中途、日本は走りながらも僅か数メートル先で倒れる男に妙な懐
かしみと不安感を覚えていた。心は彼の奥底に眠る記憶の断片を覗いていた。 それは忘れもしない、
1945年8月15日。煌々と照りつける太陽がその日だけはやけに冷たく感じられた日の嫌な記憶。物陰
に倒れる男は、彼がよく見知った人物であった。
「どうして、貴方が…?」
-プロローグ-
仇なす過去は永遠に。