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「で?どうだったのよ」
開口一番、そう言ったのは
フランスだった。
「……別に」
視線を逸らすイギリスに、隣の
日本が静かに問う。
「進展は、ありましたか?」
「……手伝わせた」
「それだけ?」
フランスが即座に突っ込む。
「それだけだ!!」
イギリスは机を叩いた。
「言えと言われたことは!?」
「言えなかった!」
沈黙。
フランスは頭を抱え、日本は静かに目を閉じた。
「重症だな……」
「難航しておりますね」
「うるさい!!」
だが。
「……ただ」
イギリスはぽつりと続ける。
「“また来い”とは言った」
フランスが顔を上げる。
「お、ちょっとはやるじゃん」
「……それで、アメリカさんは?」
日本の問いに、イギリスは少しだけ間を置いて答えた。
「……来ると言っていた」
ほんのわずかに、頬が緩む。
フランスはにやっと笑った。
「完全に脈ありじゃねーか」
「だからそういうのじゃないと言っているだろうが!」
「はいはい」
軽く流される。
「じゃあ次の段階な」
「まだあるのか!?」
「当然だろ。ここからが本番だっての」
日本も小さく頷く。
「少し踏み込んだ行動が必要ですね」
「踏み込む……?」
フランスが指を立てる。
「ずばり、“特別扱い”だ」
「……は?」
「他のやつとは違うって分かるようにしろってこと」
イギリスは眉をひそめる。
「そんなこと、どうやって……」
「簡単簡単。例えば——」
フランスはにやりと笑った。
「“お前だけ”って言えばいい」
「無理だ!!!」
即答だった。
「声でかいわ!」
日本が静かに補足する。
「直接でなくとも構いません。“あなたのために用意した”などでもよろしいかと」
「……っ」
イギリスは言葉に詰まる。
(“お前のために”……?)
無理に決まっている。
だが——
(……やるしかないのか)
フランスが楽しそうに言う。
「ま、せいぜい頑張れよ」
「他人事だと思って……!」
「他人事だしな」
ぐうの音も出ない。
その日の夕方。
案の定、アメリカはやってきた。
「来たぞー!」
「……入れ」
いつも通りのやり取り。
だが、イギリスの中では違った。
(今日こそは……)
テーブルの上には、いつもより少しだけ豪華な菓子。
(……作った)
あいつのために。
「お、なんか今日すごくないかい!?」
「別に普通だ」
平然を装う。
「これ食べていいのかい?」
「……ああ」
(言え……!)
今だ。
「……それは」
喉が詰まる。
アメリカがこちらを見る。
「ん?」
逃げるな。
「……お前の分だ」
一瞬、静かになる。
(言った……!)
ほんの少しの沈黙のあと。
アメリカはぱっと笑った。
「やっぱり優しいね、イギリス!」
「……っ」
違う。
そうじゃない。
(なんでそうなるんだ馬鹿!!)
だが、続く言葉に少しだけ息が止まる。
「こういうの、なんか嬉しいんだぞ!」
まっすぐな笑顔。
その言葉に、胸が少しだけ熱くなる。
「……そうか」
それしか言えない自分がもどかしい。
そのとき。
「なあ、今度さ」
「なんだ」
「遠出しないかい?」
「遠出?」
「ちょっと遠いとこ!景色いいらしいんだ!」
無邪気な提案。
だが——
(“今度”……?)
自然に続く未来の約束。
「……いいだろう」
気づけば、そう答えていた。
「ほんとか!?やったんだぞ!」
嬉しそうに笑うアメリカ。
(……本当に)
イギリスは小さく息をつく。
(あと一歩、なのか……?)
分からない。
それでも。
少しずつ、確実に。
距離は縮まっている。
そんな気がしていた。
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