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初音ライダー剣
第8話
“新型”
鏡音リンと桃音モモは学校の帰り、一緒に並木道を歩いていた。
リン「もうすぐ卒業だね、モモ。進路決まった?」
モモ「まだ決めてない。リンちゃんはやっぱりBOARDに行くの?」
リン「そ。まだ就職の説明とかもないけどさ。とりあえず、今日遊びがてらに行ってみようと思うんだ♪」
モモ「いいね、それ。2人で行ってみよう♪」
リンはBOARDの所在を調べていた。リンはモモを誘い、2人でBOARDに見学を兼ねて遊びに行くことにした。
その頃、BOARD宿舎の詰所ではキヨテルとウタ、MEIKO、ミクが前回の出来事の反省と今後の方針を練る会話をしていた。
キヨテル「…やはり、あの伊坂という男はアンデッドでしたか。」
ウタ「人間態に変身できるアンデッドがいたんだ…」
ミク「それは私も1人知ってる。」
キヨテルとウタは伊坂の正体がアンデッドだったことについて驚く。しかし、ミクは以前からそれができるアンデッドを1人知っているため、驚かない。そう、巡音ルカ=仮面ライダーカリスの存在だ。
キヨテル「カテゴリーJのような上級のアンデッドはそういう能力を持っているようですね。今後もその対策が必要かもしれません。」
ウタ「でも、どうやってですか?人間に変身してたらアンデッドサーチャーでも気づけないかもしれません。」
キヨテル「アンデッドサーチャーについてはバージョンアップを図りましょう。それより、新型のライダーシステムが完成しました。まずはこれについてです。」
ミク「お、ついに新型!」
ミクは新型の話が出ると飛び付こうとする。しかし、MEIKOがそれに待ったをかける。
MEIKO「ちょっと待って。その新型、誰が変身するの?」
キヨテル「問題はそれです。適合者が今のところいません。一般人から公募するワケにもいきませんし。」
ミク「チーフが変身すればいいんじゃないですか?」
キヨテル「それは残念ながら無理です。私も製作の課程で試してみましたが、適合しませんでした。」
ミク「じゃあ、ウタは?」
ウタ「無理だよ。私、運動音痴だし、戦闘訓練とか受けてないし。」
場は困惑した。現状、BOARDには新型ライダーに変身できる人物がいない。かといって一般人から公募はできない。4人が頭を抱えるなか、BOARDの宿舎に来客が来た。
リン「こんにちはー!」
モモ「こんにちは。」
鏡音リンと桃音モモが学校を終え、BOARDに遊びにきたのだった。思わぬ来客に驚き、ミクとMEIKOは2人を迎えに行くことにした。
ミク「リンちゃん、モモちゃん!」
リン「ミク姉、MEIKO姉!」
MEIKO「あんたたち、何でここに?」
モモ「調べたんです。リンちゃんがここに入職したいって。」
ミクは2人を歓迎するが、MEIKOは少し驚く。リンたちはBOARDに入職したくて、BOARDの所在を調べていた。
キヨテル「そういうことなら、歓迎しますよ。」
4人の会話を聞いたキヨテルが2人を歓迎する。
キヨテル「初めまして。BOARDの支部長を務めさせていただいています、氷山キヨテルです。見学は自由にしていってください。そのうえで、BOARDの魅力を知ってもらえれば幸いです。」
リン「ありがとうございます。早速見ていこう、モモ!」
モモ「う、うん!」
リンとモモはミクたちに案内され、BOARDの仕事についての説明を受けた。ただし、ライダーシステムの詳細については企業秘密とされ、2人には教えられなかった。
残念がるリンだが、キヨテルはそこに配慮したのか、ラウズカードと最新型のライダーシステムの変身ベルト・レンゲルバックルを見せた。満足したリンはモモと一緒に帰っていった。しかし、レンゲルバックルはその間に謎の光を発していた。
その翌日、BOARDではある事件が起こった。
ウタ「大変です!」
キヨテル「どうしました?」
ウタ「レンゲルバックルがどこにもありません!」
ミク「へ!?」 MEIKO「何!?」
ウタは大慌てで皆に報告する。キヨテルはそんな彼女の話を冷静に聞いて対処する。
キヨテル「よく探しましたか?」
ウタ「はい。それと、♦Jのカードもありません!」
キヨテル「そんなことが…?」
ミク「一晩で一体何が…?」
MEIKO「とにかく探しましょう!」
ミクとMEIKOは外を捜索することにした。2人は早速、バイクを駆って街を捜索に当たった。手がかりが何もない以上、捜索は難航するだろう。2人はそれを考慮したが、ミクの携帯電話にある通信が入ってきた。モモからだ。
ミク「はい。モモちゃん?」
モモ「ミクさん、リンちゃんがいないの…」
MEIKO「え!?」
ミクとMEIKOは一旦バイクを止めて、電話の話に耳を傾ける。
ミク「何があったの?」
モモ「分からないの。ただ、今日学校に来なくって…」
ミク「何か変わったこととかあった?」
モモ「昨日BOARDから帰るとき、ちょっと元気がなかったように見えたけど…」
ミク「分かった。探してみる。」
ミクはモモを案じ、リンの捜索も引き受けた。そんな中、ウタからアンデッド出現の報せが入る。
ウタ「アンデッド出現!仮設住宅地帯の方角です!ブレイド、ギャレンは現場に急行してください!」
MEIKO「どうするの?」
ミク「まずはアンデッドに当たってみよう。ひょっとしたら何か分かるかも。」
MEIKO「…そうね。」
ミクとMEIKOはバイクを走らせながら、それぞれブレイバックルとギャレンバックルを取り出し、腰に装着した。
ミク「変身!」 MEIKO「変身!」
「TURN UP」 「TURN UP」
ミクとMEIKOはバイクごとオリハルコンエレメントをくぐり、ミクはブレイドに、MEIKOはギャレンに変身し、アンデッドが出現したという仮設住宅地帯を目指す。
約20分後、仮設住宅地帯に到着したブレイドとギャレンを待ち受けていたのは、封印されたはずのピーコックアンデッドだった。
ミク「へ!?」
MEIKO「あんた、封印したはずじゃ…」
伊坂「確かに封印された。だが、目的を果たすまではやられきれん。貴様らに復讐するという目的のためにな!」
ピーコックアンデッドは封印されている間、ミク/ブレイドとMEIKO/ギャレンへの報復を考えていた。そして、何らかの手段でラウズカードの封印を破って再びミクたちの前に現れた。だが、驚く事はもう1つあった。ピーコックアンデッドが新型のライダーシステムの変身ベルト・レンゲルバックルを手にしていたことだ。
ミク「あれは!?」
MEIKO「レンゲルのベルト?」
伊坂「驚くことはあるまい。このベルトは私が造ったのだ。運良く適合者も近くにいてね。探す手間が省けた。」
ピーコックアンデッドは右手の指をパチンと鳴らすと、その横から鏡音リンが出てきた。
MEIKO「リン!?」
リンはピーコックアンデッドに催眠をかけられ、自我を失っている。そのため、ピーコックアンデッドの意のままに動く。
伊坂「さあ、見せてやる。最強のライダーを!」
ピーコックアンデッドはリンに命じる。リンはレンゲルバックルを手に取り、腰に装着する。
リン「変身!」
「OPEN UP」
リンは右腕を胴に、左腕を顔面に持ってきて、ポーズを取った後、レンゲルバックルを開く。レンゲルバックルから蜘蛛の絵が描かれた紫のオリハルコンエレメント・スピリチアエレメントが投影され、リンを緑のスーツと蜘蛛の意匠を持つ仮面ライダー・レンゲルへと変身させる。
リン「…」
伊坂「行け、レンゲル!」
ピーコックアンデッドの号令の元、レンゲルは専用武器の醒杖レンゲルラウザーを両手で持ち、その柄を伸ばして刃を展開させると、ブレイドとギャレンに襲いかかった。
レンゲルはレンゲルラウザーを棒術のように振り回し、ブレイドとギャレンを攻撃する。レンゲルのパワーは凄まじく、ブレイドとギャレン、2人のライダーをパワーで押していく。ブレイドはブレイラウザーを振るってレンゲルに斬りかかるが、レンゲルはレンゲルラウザーをかざしてこれを受け止める。
ミク「く…パワーが…」
レンゲルはパワーでブレイドを押し込む。パワー勝負は不利と悟ったブレイドは鍔迫り合いを捨て、バックステップで距離を取ろうとする。しかし、レンゲルはレンゲルラウザーを片手で伸ばして突き出し、ブレイドを攻撃する。ブレイドはこの突きを鳩尾に受け、よろけてしまう。
ミク「かはっ…」
レンゲルはブレイドに次の一撃を加えるべく、ブレイドに迫る。ところが、ギャレンの銃撃に邪魔され、ターゲットをブレイドからギャレンへと変えた。ギャレンはギャレンラウザーを連射してレンゲルを攻撃するが、レンゲルはレンゲルラウザーを手首で回転させて銃撃を防ぎ、銃弾を弾き落とす。そして、ギャレンに詰め寄り、レンゲルラウザーを棒術の上段打ちの要領で振るってギャレンに一撃を与える。
MEIKO「く…」
苦戦するブレイドとギャレンはラウザーを左手に持ち替えてオープントレイを開き、ラウズカードを取り出す。ブレイドは♠2、ギャレンは♦4のカードを取り出した。しかし、ピーコックアンデッドはこの時を待っていたとばかりに不敵に笑う。
伊坂「今だ!」
ピーコックアンデッドの声かけに反応するかのように、レンゲルは1枚のラウズカードを取り出し、レンゲルラウザーの後端にラウズする。
「REMOTE」
レンゲルが♣10「REMOTE」のカードをラウズすると、そのカードから緑の光線が2本放たれた。光線はブレイドとギャレンの手に持つラウズカードに当たり、カードの中に封印されていたアンデッドを解放してしまった。
ミク「な!?」
MEIKO「アンデッドが!?」
ブレイドとギャレンは驚愕する。ラウズカードに封印していたはずのアンデッドたちが再解放された。♠2からはリザードアンデッド、♦4からはペッカーアンデッドが飛び出てきて、それぞれがレンゲルの左右に付いた。
MEIKO「あんた、まさかこのカードで…?」
伊坂「その通りだ。」
ギャレン/MEIKOはレンゲルバックルが消えた事情を察した。ピーコックアンデッドはラウズカードに封印されながらも、BOARDに来たリンに催眠をかけ、レンゲルバックルを持ち出させ、リンに「REMOTE」を使わせてラウズカードから脱出したのだった。
レンゲルはブレイドとギャレンに向けて右手の人差し指を突き出す。すると、レンゲルに呼応したようにリザードアンデッドとペッカーアンデッドがブレイドとギャレンに襲いかかってきた。
ミク「っ!」 MEIKO「くっ!」
リザードアンデッドはブレイド、ペッカーアンデッドはギャレンに襲いかかる。ブレイドとギャレンは武器を取って応戦する。その様子をピーコックアンデッドが愉悦そうに傍観していた。
伊坂「ククク、せいぜい足掻け。」
ピーコックアンデッドは嘲笑する。そんな時、レンゲルがピーコックアンデッドに近づき、レンゲルラウザーを振るってピーコックアンデッドを薙ぎ払う。
伊坂「ぐあッ!?」
ピーコックアンデッドは思わぬ不意打ちを受けて倒れ転げた。
伊坂「何をする?」
レンゲル「過去の遺物にはとっとと退場してもらおうと思ってね!」
ピーコックアンデッドはレンゲルを非難するが、レンゲルはこの時を待っていたとばかりにピーコックアンデッドを攻撃する。レンゲルは倒れたピーコックアンデッドにレンゲルラウザーの刃を突き立て、上からそれを何度も突き刺す。
伊坂「ぐあッ!がッ!」
レンゲル「たははははははは!!!」
レンゲルは愉悦そうに何度もピーコックアンデッドにレンゲルラウザーを突き刺し、無慈悲に甚振っていく。そして、しばらくしたところでレンゲルバックルの右に付属しているカードデッキから♣4、6、8の3枚のラウズカードを取り出し、レンゲルラウザーにラウズした。
「RUSH」
「BLIZZARD」
「POISON」
3枚のカードの絵柄がレンゲルにオーバーラップされ、音声が鳴る。
「BLIZZARD VENOM」
レンゲル「消えろ!」
レンゲルは高くジャンプし、レンゲルラウザーを突き出して冷凍光線を放つ。冷凍光線はピーコックアンデッドの胴を凍らせて動きを封じる。レンゲルはそこにレンゲルラウザーを突き刺して毒を流し込む。
伊坂「う…」
レンゲル「おらああッ!!」
レンゲルはレンゲルラウザーを持ち上げてピーコックアンデッドを頭上にかち上げ、放り投げる。
伊坂「ぐはああッ!!」
ピーコックアンデッドは地面に激突して大ダメージを負い、アンデッドクレストを開いた。
伊坂「…ぐ…バカな…」
レンゲル「あばよ。」
レンゲルは倒れて苦しむピーコックアンデッドを踏みつけ、アンデッドクレストにラウズカードを落としてピーコックアンデッドを封印した。その後、レンゲルは変身を解いた。しかし、その姿は鏡音リンではなく、リンに似た1人の少年だった。
ミク「へ…?」 MEIKO「リン?」
レン「違うね。オレは鏡音レン。仮面ライダーレンゲルだ!」
驚愕するブレイドとギャレンに対し、レンは高らかに言い放つ。