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初音ライダー剣

第9話

“猛毒”

レン「安心しろよ。アンデッドはオレが全部封印してやっから。」

レンは強気に言い放ち、その場を去ろうとする。しかし、リザードアンデッドを退けたブレイドがレンに迫る。

ミク「リンちゃん、目を覚まして!」

レン「な、何?」

ブレイドはレンの体を揺すり、リンに正気に戻るよう促す。

ミク「リンちゃん!」

レン「う…放せ…」

リン(私から出ていって!)

ブレイドが何度かレンを揺すった後、レンは頭を抱えて苦しみ出した。どうやらリンの意識が押し戻してきているようだ。

レン「う…うああああああああ!」

レンは頭を抱えて苦しみながら、鏡音リンの姿に戻った。同時に、リンは気を失ってその場に倒れた。

ミク「リンちゃん!」

ブレイドは倒れたリンを支える。ペッカーアンデッドを退けたギャレンもリンの元へ駆けつけ、容態を見る。

MEIKO「…病院へ連れて行きましょう。」

その後、BOARDに戻ったミクとMEIKOは任務の首尾を報告した。リンは病院に運ばれたが、生命(いのち)に別条はなく、特に変わった様子も見られなかった。そして、レンゲルバックルはリンの手元から離れ、BOARDに回収された。

キヨテル「レンゲルのベルトが人を凶暴化してもう1つの人格を作る?…そんな機能は搭載してないはずですが。」

キヨテルはレンゲルバックルが変身者を凶暴化させ、多重人格化させる機能は搭載していないと否定する。

MEIKO「伊坂が…カテゴリーJが何か仕込んだのかもしれないわ。」

ウタ「仕込んだって…どうやってですか?」

MEIKO「さあ?何か細工したのかもね。」

MEIKOは伊坂/ピーコックアンデッドがレンゲルバックルの開発に関与して以来、ヤツが何か仕掛けをしたのでは、と勘繰る。

キヨテル「…我々も操られていた時の記憶は鮮明ではありません。レンゲルは一度、開発部に戻して精密に検査する必要がありそうです。」

キヨテルはレンゲルを一度開発部に戻して問題点を洗い出そうと提案する。そこで、ミクが1つ質問をする。

ミク「でも、それじゃ戦力の強化はどうするんですか?」

キヨテル「戦力強化については、ブレイドとギャレンに専用の強化パーツを開発します。レンゲルもその参考になるかもしれません。それも含めて、開発部へ回します。」

ミク「強化パーツ?」

キヨテル「ブレイド、ギャレン共に拡張の余地はあります。今からでも十分造れますよ。」

キヨテルはブレイドとギャレンに強化パーツを作ることで戦力強化を図ろうという。レンゲルが戦力として期待できるかどうか分からなくなった今のその場しのぎの提案だが、ブレイドとギャレンのシステムは拡張できる余地がある。ミク、MEIKO、ウタはこの案に賛同した。そして、レンゲルバックルは早々にBOARDの開発部へ送られることとなった。

数日後、BOARDの開発部から連絡が入った。その内容をキヨテルが読み上げる。

キヨテル「お待たせしました。開発部の報告を伝えます。」

キヨテルの発表にミク、MEIKO、ウタは少し緊張していた。

キヨテル「ブレイド、ギャレンの強化パーツについては開発認可が下りました。すぐにでも始められます。それとレンゲルですが、やはりシステム自体に人を凶暴化させたり、多重人格を創る機能はない、との事です。おそらく、カテゴリーAの仕業ではないかと思われます。」

ミク「良かった。これで戦力アップできるんだ!」

ミクはキヨテルの報せを聞いて嬉しそうだった。一方で、MEIKOがレンゲルのことについて問う。

MEIKO「カテゴリーAが?」

キヨテル「ええ、ラウズカードの中には持ち主に影響を及ぼすものが存在するようです。この前、カテゴリーJがカードに封印されたにも関わらず、リンさんを洗脳したように、カテゴリーAにも邪気で人を凶暴化させる等の能力があると推測できます。」

キヨテルはカテゴリーA=スパイダーアンデッドが封印されて尚、レンゲルの変身者を操っているのではないか、という可能性を挙げる。

ミク「でも、ブレイドとギャレンにはそういうのはないですよ?」

ウタ「何でレンゲルだけ?」

キヨテル「カテゴリーAにも個性があるのでしょう。蜘蛛のアンデッドは凶暴だと聞いていましたから。とりあえず、レンゲルは一時封印します。ミクとMEIKOには苦労をかけますが、2人で頑張ってください。」

ミク「はい。ところで、レンゲルのベルトは今どこにあるんですか?」

キヨテル「ん?それならここに…?」

キヨテルは隣のテーブルを見るが、レンゲルバックルはない。確かにここに置いたはずだ。だれかが持ち出したなどということもあり得ない。何しろ、テーブルに置いて数分しか経たないのだから。それにも拘わらず、レンゲルバックルがまた行方不明となった。どうなっているのだろうか。

その頃、リンは学校で友人たちと話しながら昼食を食べていた。リンはピーコックアンデッドに操られた痕跡は跡形もなく、元気に普通に生活していた。

リンの友達「でさー…」

リン「へ~…?」

会話中、リンは何か違和感を覚えた。そこで、制服のスカートのポケットに手を入れてみると、何かゴツいものを触った。

リン(あれ?何これ…?)

リンの友達「リン、どした?」

リン「い、いや、何でも!」

リンの友人たちはリンを見遣るが、リンは何故か怖くなり、その場から早歩きで退散した。

そして、外に出たリンは誰も来ない倉庫の裏に身を隠し、ポケットからレンゲルバックルを取り出した。

リン(何でこんなのがあるの…?)

リンは怪訝そうにレンゲルバックルを凝視する。そこにモモが来て、リンに声をかける。

モモ「リンちゃん、どしたの?」

リン「ひッ!?」

リンはモモの声に驚き、慌ててレンゲルバックルを後ろ手に隠す。

モモ「何?いきなりビビって。」

リン「ち、違うよ!ビビってないよ!…!?」

モモはリンに迫るが、リンは後退りする。その途中で、リンはレンゲルバックルを落としてしまう。モモは当然、それに目をやる。

モモ「あ、これってBOARDで見せてもらったヤツじゃない?何で持ってるの?」

リン「し、知らないよ!私が聞きたいくらい、うッ…」

モモ「リンちゃん?」

リン「ああああああ!」

モモ「リンちゃん!」

突然、リンの頭を激痛が走る。リンは頭を抱え、苦しみ出した。モモはリンを心配するが、リンの頭痛は増すばかりだった。そして、頭痛が退くと、リンは目つきが悪くなり、声のトーンも低くなった。

リン「…うるせえんだよ、何回も呼ぶな!」

モモ「…リンちゃん?」

リン「うるせえって言ったろ!」

モモ「きゃっ!?」

リンは右腕を伸ばしてモモの首を掴み、モモを締め上げる。

モモ「…やめて…リンちゃん…」

モモは苦しみながらも、必死にリンに止めてと懇願する。

リン「…ふん!」

モモ「きゃッ!」

リンは片腕でモモを放り投げる。モモは尻餅をつき、その場に転倒した。

リンはスカートのポケットに手を入れ、その場を去っていく。

モモ「リンちゃん、どこ行くの…?」

リン「獲物を探しに行く。お前を痛めつけてもしゃあねえからな。」

モモ「え…?」

そろそろ昼休憩が終わる頃だが、リンはお構いなしに学校を後にした。

その後、リンは古着屋の試着室で制服を脱ぎ捨て、男物の白いパーカーに黒のTシャツ、青いデニムのジーンズに着替えた。

レン「へへ…お?」

鏡音レンとなったリンは古着屋を出た。そこに、緑と金色をした1台のバイクが無人走行でレンの元に来た。仮面ライダーレンゲルと並行して開発された専用マシン・グリンクローバーだ。

レン「渡りに船ってヤツだな。」

レンは微笑して早速グリンクローバーに乗り、ヘルメットを被って”獲物”を探して街を走って行く。

その頃、ミクはアンデッドとレンゲルバックルの捜索をしていた。BOARDはアンデッドサーチャーを少し改修し、レンゲルのこともアンデッドサーチャーで探知可能とした。変身していなければ探知できないという問題はあるが、手がかりはもう1つある。リンの存在だ。レンゲルバックル、ひいてはスパイダーアンデッドに選ばれたリンなら、ひょっとすると持っているかもしれない。そう思って、アンデッドとリンを捜索するミクにウタから通信が入った。

ウタ「ミク、気を付けて!近くにアンデッドがいる!」

ミク「分かった!」

ミクはブルースペイダーを駆ってアンデッドの戦闘に備え、ブレイバックルを取り出す。

ミク「変身!」

「TURN UP」

ミクはブルースペイダーに乗ったままブレイドに変身する。そして、その直後に前回逃したリザードアンデッドを見つけた。ブレイドは早速ブルースペイダーを止めて、ブレイラウザーを抜く。

ミクがアンデッドと戦っている頃、ルカは港の公園で1人バイクにもたれて佇んでいた。それを見付けたレンがグリンクローバーを降り、ヘルメットを取ってルカに戦闘を挑む。

レン「お前がカリスだな。オレは鏡音レン。レンゲルだ。」

ルカ「…何?」

レンの好戦的な姿勢にルカは少し違和感を感じる。しかし、レンはその様子を気にも留めず、レンゲルバックルを取り出し、腰に装着する。

レン「変身!」

「OPEN UP」

レンはポーズを取ってスピリチアエレメントをくぐり、レンゲルへと変身する。そして、レンゲルラウザーを手に取り、ルカに挑みかかる。ルカはこれを軽くしゃがんで回避するが、レンゲルの様子に未だ違和感を感じたままだった。その違和感がルカに戦う気を失せさせている。

レン「どうした!来ねえならこのまま潰すぞ!」

レンゲルは執拗にルカに攻撃を仕掛ける。ルカは最小限の動きでこれを回避していくと、レンゲルと距離を取って「CHANGE」のカードを取り出し、カリスバックルにラウズする。

ルカ「変身!」

「CHANGE」

ルカはカリスに変身し、レンゲルの一撃をカリスアローで受け止める。

ブレイドはリザードアンデッドと戦っていた。リザードアンデッドは右腕に装備した剣でブレイドを攻撃してくる。ブレイドはそれをブレイラウザーで受け止める。だが、リザードアンデッドは今度は左腕の斧でブレイドを攻撃する。ブレイドはこれを1歩下がって回避した。そんな中、ウタから通信が入る。

ウタ「ミク、レンゲルの反応をキャッチした!今、カリスと戦ってる!」

ミク「分かった!すぐ行く!」

ブレイドはこの場の戦いを早急にカタをつけるべく、ブレイラウザーのオープントレイを開き、♠5、6、9のラウズカードを取り出してラウズする。

「KICK」

「THUNDER」

「MACH」

「LIGHTNING SONIC」

ブレイドはポーズを決めた後、猛スピードでダッシュしてジャンプし、空中で前転し、電撃のエネルギーを纏った右足を突き出す。

ミク「はあああああ!」

ブレイドは勢いよくリザードアンデッドを蹴り飛ばす。リザードアンデッドは大きく蹴り飛ばされ、大ダメージを負い、倒れ転げてアンデッドクレストを開いた。ブレイドはすかさずラウズカードを投げ込み、リザードアンデッドを封印した。

海浜公園ではカリスとレンゲルが戦いを繰り広げていた。2人は互いに一歩も退かず、互角の戦いを展開している。その状況に痺れを切らしたレンゲルはラウズカードを取り出す。

レン「へへ…」

レンゲルは不敵に笑い、♣4、6、8のカードを取り出してレンゲルラウザーにラウズする。

「RUSH」

「BLIZZARD」

「POISON」

「BLIZZARD VENOM」

3枚のカードの絵柄がレンゲルにオーバーラップされる。カリスは一歩退いて待ち構えるが、その背後に子犬が来た。カリスはそれに気づき、子犬を庇うようにレンゲルに背を向ける。だが、レンゲルは当然それを歯牙にもかけない。

レン「よそ見してんなよ!」

カリスは子犬を逃がして正面からレンゲルの技の直撃を受ける。レンゲルは冷凍光線でカリスの胴を凍らせ、そこにレンゲルラウザーを突き立てて毒を流し込む。

ルカ「う…」

レン「うおらッ!」

カリスはかろうじてレンゲルラウザーの柄を掴んで押し戻そうとする。だが、レンゲルはそれより力を込めてレンゲルラウザーでカリスをかち上げ、放り投げてしまう。

ルカ「ぐっ!」

カリスは飛ばされた先で倒れた。体に毒が回り、上手く動けない。レンゲルはそんなカリスにとどめを刺すべく迫る。そこに、ブレイドがブルースペイダーに乗って現れる。

ミク「!?」

ブレイドはレンゲルがカリスにとどめを刺そうとしている状況に驚く。

ミク「やめて!リンちゃん!」

ブレイドはレンゲルを止めるべく、ブルースペイダーを降りてレンゲルに挑む。だが、レンゲルは走ってくるブレイドの腰のブレイバックルを狙い、レンゲルラウザーを振るう。そして、レンゲルラウザーはブレイバックルをブレイドから引っぺがしてしまう。

ミク「うっ!?」

ブレイドは尻餅をついて倒れる。同時に、ブレイドの変身が解けてミクの姿に戻ってしまう。ミクはブレイバックルを拾おうと手を伸ばすが、レンゲルがそれより早くレンゲルラウザーにカードをラウズする。

「REMOTE」

「REMOTE」のカードはブレイバックルの中の♠Aのカードに当たり、♠Aのアンデッド・ビートルアンデッドを解放してしまう。

ミク「な!?」


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