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間空けてすみません。
それから、僕はあの橋に通うようになった。彼女と会うには、そこしかないと思ったから。
「え、ロシア帝国ってあの学校の生徒なの?
あそこ、賢いで有名じゃん」
「うん、両親の勧めでね。勉強も、案外難しくないよ。」
「へぇー…すごーい……」
「プロイセンは、学生?」
「うん、学生。といっても、通信制だけどね(笑)」
こんな…こんな他愛もない話が、僕の今までの苦しみを溶かしてくれるようで…すごく、すごく楽しかった。
嫌なことがあると、プロイセンに話したりもした。彼女はそれを黙って聞いてくれて、僕を慰めてくれた。両親も先生も、『辛いのは今のうちだけ』とか『そんなのは甘えだ』とかしか言ってくれなかったから凄く新鮮で、僕は少し驚いてしまった。それを言うと、彼女はまた笑って言った。
「誰も慰めないなら、私がロシア帝国のことを慰めてあげるよ。」
僕はその言葉が嬉しくて、涙を抑えるので必死になってしまった。
ある日、僕はいつものようにプロイセンと話をしていた。…しかし、彼女の様子がどこかおかしかった。昔から、嫌な想像をするのだけは得意だったせいで、ふつふつと不安がせり上がってくる。
「ねぇ、プロイセン…。」
「ん、なぁに?」
「何か……あったの?」
プロイセンは、一瞬だけ驚いたような顔をして、すぐにいつもの表情に戻った。
「急にどうしたの?そんなふうに聞くなんて。」
「いや……なんか、様子が変だったから…心配になって……」
「え?心配してくれるの?嬉しいなぁ……。
……大丈夫、私はいつも通りだよ。」
僕は、彼女の言葉を信じることにした。
…でも、現実とは無情なもので、僕の予感は現実のものとなる。
…彼女が、あの橋に来なくなったのだ。