一人の男を拾った。
俺らよりは若そうな男を
雨が降っているのにも関わらず、傘を持っていなくて、わざと雨が当たるところで腰を下ろしていた。
顔は髪で見えないし、誰かも知らない人を家に居れるのは…と躊躇いがあったが、流石に懸念してしまって、結局家に連れていくことにした。
しかし、拾ったものはどうやら宝石だったらしく、髪で隠れていた顔は俺好みの顔だった。
顔はタイプなんだけど、、おとなしいなぁ…
なんか、何にも興味無いみたいな…
まぁそんでも別にいいけど、、抱かしてくんないかな〜
なんて思い、お礼の代わりに一か八かで聞いてみると、まさかのOKで。
本人もそういった男とヤった経験が過去にあったらしく、まさに好都合
しかし、いざ始めようとすれば、柔太朗が苦しそうな顔をして俺を止めた。
そして仁人に服を脱げ、と言う。
すると仁人は、"わかりました"と従順に躊躇いもなく服を全て脱いだ。
俺の欲が増大するのも束の間、羞恥もなく俺たち4人の前に全裸で立つ仁人の身体を見て、全員が目を丸くした。
その身体には無数の傷や跡があった。
過去に何があったのか分からないほどの跡が、、
ん…?過去…?
"過去に一度だけ____."
「え…」
「どうしたん…この跡に傷…」
「俺さっき服がめくれた時にたまたま見えちゃってさ、」
流石にこの身体を見たらヤりたいと思う気持ちは一瞬にして消えた。
というより、こんな子を嫌ったらしく抱く趣味も持ち合わせてないし、痛々しい傷をみて興奮するなんて微塵もない。
それよりもむしろ、過去に何があったのか知りたくなった。
まぁ、仁人が素直に話してくれるかは分からないけど…
「やっぱするのはなし。仁人も服…あぁ濡れてんのか、ちょっと待って、持ってくる」
仁人が着れそうな服を探しながら、先程の光景が頭の中から離れない。
流石にあれは笑えるものでは無い。
俺が予想つくものは2つある。
1つは両親からの虐待、もう1つは…性被害。
初めは髪で隠れていたから見えなかったものの、顔が見えると、目を惹くような綺麗な顔をしていたから、たとえ男だろうとそういった被害に遭ってもおかしくない。
世の中には想像もつかないキモイやつらばかりだから。
ふと見えた仁人のスマホ画面には仲良さそうに見える家族写真があった…から、可能性が高いのはきっと、、後者だろう。
「はい、これ着な。少しでかいかも」
『ありがとうございます。』
周りを見た感じ、みんなが気になっているっぽい。
「仁人さ、それ。身体にある傷、聞いていい?"過去に一度だけ"って言ってたその過去」
「…え、そうなん…?」
「いや、もしかしたら違うかもしんねぇけど、、」
『いや…合ってます。…わかりました』
「辛いなら無理しなくていいから」
『大丈夫です。辛い,,なんてもう忘れたので。約半年程前なんですけど、性被害に遭いました。』
「え…誰に?何されたん…」
「いいから、静かに。ごめん、続けて」
『帰宅途中だったんですけど、急に目を隠されたと思ったら、知らない場所にいて、3人..4人?くらいの男に囲まれてました。そこからはもう、無理矢理口に突っ込まれたり、水に沈められたり、言うこと聞かなければ殴ったり蹴ったり、意識が落ちれば無理矢理起こされて。ずっと回されてました。最後の方はもう完全に記憶がなくて、気づいた時は病院にいたんですけど』
仁人の過去は俺が想像していたものよりも遥かに酷いものだった。
それなのに、次々と飛び交う質問に何とも思っていないかのように平然と応えていた。
仁人と会ってから薄々感じていた。
仁人の思いを求める二択の質問の時は、仁人はいつも"大丈夫"と遠慮する。
逆に頼み事での二択の質問の時は、仁人はいつも"わかりました"と応える。
さっきだって、家にくるかと尋ねた時は"大丈夫"だと言い、柔太朗が脱いでくれと頼めば"わかりました"と受け入れた。
何故こんなにも不思議な程に従順なのか、察することのできない感情、生気の無い目の意味を今になって理解した。
今すぐにでも抱きしめて、大丈夫だと慰めてやりたいのに、逆に怖がらせてしまいそうで、、
「どうやって見つかったん…」
『俺は覚えてないんですけど、親から聞いた話によると、いつも帰ってくる時間に帰って来なくて、心配してスマホの位置情報あるじゃないですか…それでみたら知らないところでずっと止まってたらしくて』
「そっか…良かった…。話してくれてありがと。辛かったな。」
「怖かったよね…」
俺が被害に遭ったわけじゃないのに、当時の本当の怖さなんて知るはずないのに、あたかも自分が体験したような不気味な現実感が胸を締め付けて、抱き締められずにはいられなかった。
『え…あ、、いやっ,,あれ、、なんでだろっ…ごめっ,,なさ…ぃ』
「大丈夫大丈夫、泣いていいよ。ここには殴るやつも蹴るやつもいないから。無理に思い出させて悪かった 」
「そりゃ、あんなことされれば、こうなる,,よな…」
「もしかして、俺たちも怖かったりするん…?」
『あ…いや、えっと…』
「素直に言っていいんよ」
『少し…少し怖いです』
「少し?」
『はい…他の人よりは,,大丈夫…?』
「そっか!なんか嬉しいなぁ!」
「てか、家は?一人暮らし?」
『あ、はい』
「んじゃ、今日はもう遅いし、このまま泊まっていきな。怖かったら部屋の鍵閉めていいから」
『ありがとうございます。あ、あの…しない,,んですか…?』
「笑しないよ。したい?」
『…痛いのは,,もう嫌です…。』
「ここに居る奴らは少なからず、優しくて良い奴だから、安心して寝な。仁人がしたくなったらいつでも言ってね 」
「てかさ、なんだったら住んじゃえば?4人だろうと5人だろうと変わらないしさ!笑」
「確かに笑リハビリ?的な感じで少しの間だけでもええしな!」
「もちろん、仁人と親御さんが良いならやけど」
『俺は別に大丈夫ですけど…母親には聞いておきます』
「ん!了解!んじゃおやすみ〜」
「おやすみー」
「いい夢見てな!」
「おやすみ仁人」
おやすみなさい
to be continued.
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