おやすみとは言ったものの、なかなか寝付けない。
自分の家ですら定期的に起きてしまうのに、他人の家なら言うまでもないだろう。
本当は分かってる。
自分がどうしようもなく怖くて、汚れた俺に触れたら、その人まで汚れてしまうんじゃないかって…
苦しいからこそ隠したくて、向き合いたくなくて、いっそのこと何も感じない方が楽だった。
なのに久しぶりに感じた人の体温がこんなにも温かいものだったなんて、もっと感じていたいと欲する自分が嫌になる。
いつの間にか長かった空夜にも太陽の光が差し込む時間になってしまった。
するとドアを小さくノックする音が聞こえ、直ぐに扉を開けた。
「仁人〜?起きてる〜?」
『あ、はい!起きてます。今開けます』
「おはよう!朝ごはん出来てるよ」
『ありがとうございます』
リビングに行くと、既に他の3人が揃っていた。
「仁人ちゃん寝れた〜?」
「なんだよ仁ちゃんて笑」
「え〜?だって可愛くない?笑」
「仁人いいの?」
『俺は別になんでも』
「んじゃいっか!あ、そうそう、寝れた?」
寝れなかった、
なんて言えるわけない。
きっと言ったところで何か変わるわけでもないし、余計に心配をかけるだけ
『寝れました…』
「そう?良かったー!」
気楽に見える太智に突っ込むように勇斗が口を開いた。
「嘘つけ。寝れてないだろ。顔、昨日より酷くなってんじゃん…」
そう言って俺の隈を優しくなぞった。
あぁほんと、なんでこの人は見抜いてしまうんだろう…
昨日も…他の人なら俺の話を聞いて驚き、慰めの言葉をかけるくらいなのに、この人は…この人だけは、ただ静かに抱き締めてくれた。
こんな汚れた俺に何の躊躇いもなく、ただ優しく…
『すみません…ほんとはあまり寝れてなくて…』
「そうだったん!?なんで…?」
『やっぱり…怖くて,,』
「ん〜どうしたらいいんやろ…」
「仁人が寝るまで俺傍にいようか?あ…でも逆に怖いか」
『え…いや、もう怖くはないんですけど、、それは,,申し訳ないです…』
「俺も元々睡眠時間短いし、大丈夫。あ、てかどうすんの?住む?」
「そうじゃん!お母さんには連絡とれた?」
『はい…一応許可はもらったんですけど、何もしないで住まわせていただけるのは、何だか気が引けて…』
「別に何も気にしなくて大丈夫よ!俺らだって特にこれ〜とか決まってないしね」
「そうそう!ほんま気にせんといて!」
『わ,,わかりました…』
「敬語もいいんよ!遠慮もせんでいいし、気楽にいこ!気楽に!」
「太智は少しは遠慮して欲しいけどな?」
『わかりました。』
「ほら!笑 そこは"おっけ〜"でいいんよ!」
「まぁ、少しの間は難しいだろうね笑自分のペースで大丈夫だから」
「そうそう!じゃ、みんな朝ごはん食べよ!」
こんなにも朝から活気がある空気はいつぶりだろうか。
騒がしいのは苦手なのに、、何故かこの騒がしさは居心地が良くて、もう少しこの人たちといたいなって思ってしまった。
そんな心安い時間を終え、各自準備をしていた。
あ、そういえば服とかどうしよう…
「仁ちゃんどうしたん?」
『服とかって…』
「そうじゃん!勇ちゃ〜ん?仁ちゃんの服とかどーするん?」
「あ〜そういやそうだった…よし、じゃ仁人の家行くか!」
『え…?』
「いいね。必要なもの取ってくるついでに、もう引っ越す準備しちゃえば?」
「あー確かに。」
「んじゃ、佐野さん運転よろしくお願いします。」
「ん、了解。 」
「じゃ、レッツゴー!」
えー…
どうやらこれからの俺の生活は、この4人の男たちによって、煌びやかで、そんでもって騒がしく彩られていくっぽい…。
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