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#創作
ゆずき
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耀聖(ようせい)
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#ロマンスファンタジー
花月夜れん
456
竜馬が退院してからは、二人は常に一緒にいた、一緒にご飯を食べ、一緒に眠った
そして夜は星空を眺めながらベッドで彼は語ってくれた、彼がアメリカで出会った美しい麗人のことを
ひとつ・・・ひとつ・・・
思い出を辿るような話し方だった、時々英語が飛び交うので、ジェニには理解できない場面もあったが、とにかく彼のアメリカの人生では、常にその金髪の天使と表現した「ジャスティン」と言う少年が傍にいて守ってくれていたそうだ
そして、その天使の闘病生活を支えた竜馬の話も聞いて・・・ジェニは心の中で涙した
若くて死なないといけなかったジャスティンの冥福を願った
ジャスティン・・・儚いジャスティン・・・
「そんな人があなたの味方にいれくれて、幸運だったね・・・」
「うん・・・アメリカに渡った時・・・僕は一人で孤独に苛まれたけど・・・ジャスティンと出会ってからは、千人の人との出会うよりも濃い人生を送った、もし彼がいなかったら・・・」
そこで竜馬は言葉を切った、ジェニは忍耐強く彼の次の言葉を待った
「もしかしたら・・・僕は死んでいたかもしれない・・・」
「竜馬さん!」
ジェニは竜馬を抱き締めた、彼は微笑もうとしたがそれは暗い笑みだった
ああ・・・なんて彼はすばらしいのだろう、たった一人でアメリカに渡り、少なくとも初めはホームファミリーにひどい仕打ちにあったのに・・・自立して友人の最後を看取り・・・素晴らしい業績を作って日本に戻って来た
でも、今は傷ついて悲しんでいる、彼の心になんとか平和をもたらし、慰め・・・過去や未来のあらゆる害から守ってあげたかった
ジェニは忍耐強く、竜馬の打ち明け話を聞いた
「・・・それじゃ・・・亡くなった彼が、メビウスを残してくれたの」
「・・・うん・・・」
竜馬はしんみりと言った
「彼は本当に良い人だったのね・・・」
「・・・うん・・・」
暗闇の中で荒い彼の息遣いが聞こえた、涙を堪えているような重い息遣いだ、そして咳ばらいをした、とても大きな咳払いだった
「そうだね・・・だから・・・そんなわけで、僕は彼の残してくれた、企業を大きくしていきたいんだ」
落ち着いた声に戻っていた
「でも・・・しばらくは、まだ病院に通わないといけないわ・・・耳の精密検査も残っているし・・・」
やっと彼がこっちを向いて微笑んでくれた
「わかってる・・・宗一郎に十分休むように言われているよ、こんなに休んだのは仕事をして初めてだな」
「休みの間・・・何する私もスケジュールを調整するわ・・・これから何かしたいことある?」
「そうだな・・・」
竜馬は微笑んで言った
「・・・とりあえず君にメシを作ることから始めようと思う」
.。 .:・.。. .。.:・
夜明け近くに目が覚めると彼の腕はまだジェニを抱いていた、ブラインドを閉め忘れた隙間の窓から光が寝室に差し込む、日が昇り始めた空をオレンジ色に染めている、寝返りを打って上体をおこし、ジェニは竜馬を見つめた
暁の光がスヤスヤ眠る彫の深い顔をなぞる・・・改めて感動する
ああ・・・生きて彼がここにいる・・・私の腕の中にいる・・・病院で昏睡状態の彼の横では本当に生きた心地がしなかった、またその時のフラッシュバックが襲う、途端にボロボロ涙がでる
よかった・・・彼は私の元にいる・・・その安堵の波がジェニを襲う
そのあまりの激しさに彼を起こさないようにしていたのに、つい声を立て、すすり泣きが部屋に響いた、彼が目を開けた
「・・・どうしたジェニ・・・わぁ」
彼は驚いて飛び起きた、なぜならジェニが無言でボロボロ涙を流して大泣きしているからだ、いちごのパジャマの前身頃が涙で濡れている
「な・・・なに・・・?いつから泣いているの?どこ痛いのか?」
ジェニは竜馬の首に飛びついた
「苦しいの・・・」
ジェニが竜馬を見つめて言った・・・心配でたまらないという顔で竜馬はオロオロする
「竜馬さん・・・愛している・・・愛してる・・・そう思うと、ここが・・・苦しいの」
切羽詰まった声でジェニが心臓を抑えて泣く・・・竜馬は安心したのか、ため息をついてジェニを抱きしめ、そのまま二人はまた大きな枕に横になった
朝日が差し込んでくる中、しばらくじっと見つめあい・・・竜馬がそっとジェニの涙を指で拭いた
「ソレハ・・・フジノヤマイデス・・・ナオリマセン・・・」
「・・・どうして照れたら片言(カタコト)日本語の外人のようになるの?」
「スイマセン・・・」
ジェニは照れている竜馬に身を寄せた、もうおかしくなって涙はひっこんだ
「では・・・私の不治の病は治らないんですね?」
「大丈夫だよ・・・その病(やまい)は僕もかかっているから」
フフフと彼は笑った
「僕の方が重症患者だ」
. .。 .:・.。. .。.:・
ジェニは顔をずらし、上半身裸の彼の脇に鼻をつけた、そして見つけた・・・ここにも小さな三角の火傷の跡が・・・治りかかって白くはなっている、明日からはここもキスするポイントに追加しなければ・・・
安心したらなんだか眠くなってきた・・・ジェニはこのまま目を閉じた
「愛しているわ・・・竜馬さん」
彼の胸に手を置いて囁きかけた
「わかっている・・・」
彼が耳元で静かに言う
「わかっているとも・・・愛しいジェニ・・・僕も君をどれほど愛しているか・・・」
ジェニはまどろみ眠りに入り夢をすべて彼に預けた
「夢の中で話してあげる・・・」
.。 .:・.。. .。.:・
「ジ・・・ジェニ・・・本当に無理しなくても・・・いいんだよ・・・」
ジェニは険しい顔でエプロンの紐をキュッと結んだ、その後ろでオロオロしている竜馬がジェニの様子を伺う
「竜馬さんは黙ってて、これは私の問題なの、今までずっとこの問題から逃げていたのは、私よ!」
キリッと眉毛を上げ、今彼女は竜馬のペントハウスのキッチンで、まるで戦場に出向く武士のように恭しく、猫耳のついたヘアバンドをし、髪をひとつにくくる
「そんな大げさなことか?」
これまたジェニの隣で、黒のシェフエプロンをしている文也が、腕を組んで呆れて言う
竜馬が反論をしようとした時、オーブンのタイマーがなった
「さぁっ!オーブンも温たまったようだわ、文也君、私にお料理を教えてちょうだい!」
「オーケー!!んじゃ、今日はジェニさんご要望のクリスマス用のローストチキンを作っていくよ、その前に付け合わせのバターキャロットを作って行こう、ニンジンを切って、ジェニさん!」
竜馬がジェニの後ろからのぞき込み言う
「包丁って・・・いっ・・・いきなり危なくないか?指でも切ったら・・・」
「もう、竜馬さんは向こうへ行ってて!!すぐに美味しいジェニ特製のお料理を食べさせてあげますからね!」
ジェニがイライラと、竜馬をキッチンから追い払った
「う・・・うん・・・わかった」
「とっとと始めよう!」
そこから竜馬はキッチンはなるべく見ないように、ソファーに座ってハナを抱きかかえ、テレビを見ようと集中した
ハナは犬用ガムをくちゃくちゃ噛んで、竜馬のジーンズをよだれだらけにしている
キャーっ!「ニンジンが私に飛んで来たっっ!」
「指で押さえて切らないからだよ」
ガシャーン「あっつーーー(泣)」
「湯気だから大丈夫だよ」
シューッバチバチバチッッ「油が私を襲ってくる――ッ!なんでーー??」
「水気を切らずに、フライパンに放り投げるからだよ」
最後のジェニの悲鳴に、とうとう我慢できなくなった竜馬が、キッチンに飛んで来た
「大変だっ!!赤くなってるじゃないかっ!!」
ジェニの右手に2ミリほどの油の跳ねた跡に気付いて、竜馬がショックで卒倒しかけた
慌ててジェニの肩を胸に抱き寄せて、シンクの所へ連れて行き、蛇口をひねった
「しばらく水で冷やしてろ!火傷の僕の薬があるから!」
文也が呆れて言う
「それぐらい大丈夫だよ、水膨れも出来てないし」
ジェニがグスグス泣き出した
うっうっ・・・「27歳にもなって・・・お料理のひとつも作れないなんて・・・私・・・竜馬さんの奥さん失格だわ・・・」
「確かに」
文也は目に皮肉な色を浮かべた、ジェニを抱きしめている竜馬がキッと文也を睨んで言う
「僕の奥さんを馬鹿にすると許さないぞ!だって仕方がないじゃないか!ジェニは7歳の頃にお母さんに先立たれて、高校生からずっと中堅のサラリーマンのようにがむしゃらに働いていたんだぞ、料理が出来なくて当たり前じゃないかっ!」
竜馬は怪我をした小鳥を持つように、ジェニの右手を包み込んだまま、蛇口の下に戻した
うっうっ・・・「いいえ・・・竜馬さん・・・文也君の言う通りよ」
「そんなことないよっ!今朝の君の作ってくれた「ゆでたまご」は絶品だったよ!!」
勇気づけるように竜馬が言う
ヒック・・・「本当・・・?」
少しの希望を持ってジェニがうるうるした目で見つめる・・・竜馬はもう必死だ
「ああ!とってもうまかったよ、ちゃんとしっかり黄身にまで火が通ってて・・・え・・・?ジ・・・ジェニ?」
途端にジェニが滝のように涙を流した
うわぁ~~ん「半熟卵にしたつもりだったのにぃ~~(泣)」
「ええっ?そうだったのか?い・・・いやっ!それでもうまかったよ、ジェニ・・・泣かないでっ!」
「ねぇ・・・帰らせてもらっていいかな?」
二人に付き合ってられないとばかりに文也が首を振ってエプロンの紐をほどいた
「とにかく!ジェニさんは料理が出来ない代わりに、数百万単位の仕事を取ってこれる、竜ちゃんは今は仕事が出来なくて、料理は竜ちゃんの方が出来るから、竜ちゃんがする、これでいいんじゃない?」
文也が、サラダ用に置いておいたプチトマトを、むしゃむしゃ食べながら帰り支度をして言う
「まぁ・・・料理といっても、目くそ鼻くそだけどな、別に食えたら何でもいいんじゃない?と、言うわけで、僕は帰るよ、後はお二人で好きにやってくれ」
文也は抱き合って、オイオイ泣いている二人を放って、さっさと帰ってしまった
コメント
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うわぁ、このエピソード、胸がいっぱいになりました……。竜馬がジェニにジャスティンの話を打ち明けるシーン、特に「僕は死んでいたかもしれない」のところでグッと来ました。彼の過去の傷と今の強さが両方伝わってきて。そして最後の料理修行!ジェニの不器用さと必死さが可愛くて、でも竜馬の「ゆでたまご絶品」フォローに思わず笑っちゃいました。文也の「目くそ鼻くそ」発言もツボです。二人の絆がどんどん深まってて、次が気になる!