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あ、お久しぶりです作者です
えっと、前回投稿いつやっけ
まぁ結構空いてしまって申し訳ないです。
ただの趣味なんで特にこれと言ったこだわりとかも無いんですけど…
今回はね、いつも通り作者の大好きなドロドロ系です
投稿の伸び的にやっぱドロドロ系は受け付けない人も多いんかな?
まぁ好きな人に刺されば十分ですけども
では、どうぞ……
gr→em(←)tn【真偽の狭間】
俺が6つの頃、兄ができた
兄とは九つ離れていた
どうやら昔から我が家と親交があった他国の貴族だったらしい。
しかしお家が没落して行くあてがなくなり、それならばと両親が里子になる事を提案したのだそうだ。
一人っ子で兄弟に憧れていた俺は兄ができることをとても喜んだ
兄は、とても優しかった
賢く謙虚で、それでいて努力を怠らず、誰かの為なら自身が傷つく事も厭わないような
まるで聖人のような人だった。
そして
そして、兄は美しかった
亜麻色の絹のような髪
白磁器のように滑らかで白い肌
ビスクドールの様にスラリと長い手足
誰もが振り向く様な中性的で美しい繊細な顔立ち
何より目を引くのは
何処までも澄んだ白銀の瞳
真珠、クォーツ、ダイヤモンド
そのどれもが見劣りする程に美しい
何もかも美しい兄を、俺は尊敬し慕った
ことある事に兄の元へ行って勉強や話を強請り、兄と様々な議題でギロンをした。
兄は優しいから、そのどれもを笑って受け入れてくれた。
でも
兄は
ずっと
俺でない誰かを見ていた
俺の名前を呼びながら、俺でない誰かを静かに見つめていた
俺の赤い瞳をみて
兄は
エーミールは
誰を
兄が家に来て7年
兄は大学を卒業し、世話になった母校で働くと言って家を出た。
兄は教職に就きたいのだとよく話していたから、兄の夢が叶ったのだと、自分の事のように喜んだのを覚えている。
俺も丁度その年に全寮制の軍学校に入学したから、家が静かになってしまうなと両親は少し寂しそうに笑っていた。
幼い頃から憧れていた軍へと子供らしく期待を抱いて居たものだ。
けれど
軍学校に入学してすぐ、軍や政府の内側を見せつけられ、この国の終末を悟った。
腐りきった上の人間達
上からの圧力を下の者に押し付ける上官
それらに為す術なく踏み躙られるだけの兵士達
もとよりこの国の内政には物申したい事が山ほどあったが、現実はそれより悲惨だった。
それからは密かに革命を企て、少しづつ仲間を増やして行った
軍学校の生徒や訓練兵、スラム街の住人、圧政に苦しめられる町人等
やはりこんな政治では大勢に不満を持たれていたらしく、想像よりも多く同士が集まった
その中でも特に腕の立つ数人を幹部として、俺達はついに革命を成功させた。
それから一年ほど
やはり国を治めるとなればそれはそれは忙しいわけで
優秀な仲間達が全力でサポートしてくれていたのだが、それでも家族に手紙の一通も出せない程だった。
ただ、漸く建国直後のいざこざも落ち着き、それなりに余裕ができてきた
一日中仕事部屋に閉じ籠り自身のサインにゲシュタルト崩壊を起こし、ふとした時に束の間の睡眠(気絶)をとる
そんな生活もやっと終焉を迎えたのだ。
そうして久しぶりにゆっくりと呼吸をして、真っ先に思ったのは
兄に、エーミールに会いたい
コレだった
兄の優しい声が恋しい
兄の淹れる紅茶が飲みたい
また二人で議論がしたい
考えれば考えるほど兄に会いたくなる。
気付いた時には手紙を書いていた
数週間後、兄が軍本部に来ることになった
年甲斐なく浮き足だって、あんまり俺がはしゃぐもんだから、仲間達には化け物を見る様な目で見られた
全くもって失礼なことだ
久しぶりに会った兄は、やはり美しかった
優しげな顔
艶やかな亜麻色の髪
白磁器の肌
何故だか酷く嬉しくなって、話したいことが山程あって、聞きたいことも沢山あって
「にい、さん…?」
その声は、自分のものではなくて
「兄さん、やんな…?」
それは己の悪友で、腹心で
最も、信頼に足る男のもので
「ト…ン、トン…?」
見開かれた白銀の瞳は、真っ直ぐと紅を見つめていた
俺の赤とは違う
燃え盛る炎の様な紅を
くらりと
脳が揺れた
兄は
本当の兄ではない
そんな事、ハナから解っていたのに
俺に向けられていたあの眼は、本来実の弟に向けられるものだったのに
行き別れになった弟と同い年の義弟ができたのなら
実の弟と重ねるのは当たり前のことなのかもしれない
けれど
それでも
許せなかった
兄の全てを、自分のモノにしたかった
解っていた
兄が、俺でない誰かを見ていることも
兄が、俺でない誰かを愛していることも
全部、心のどこかで解っていた。
でも
兄の事が好きだから、見ないフリをしていた
兄の事が好きだから、気付いていないフリをしていた
愚直にも、ただ一心に
兄を愛していた
けれど
けれど、もう
俺は、あの人の弟ではないから
だから
だから、俺は
俺は
「っあ…!い、やぁ!ぐるっぺ…っ!」
俺は、悪くない
「〜〜〜ッ‼︎…っあ!やだっ、ん“うぅ…っ!」
弱々しくも、細い体で抵抗をする兄…いや
エーミールを力ずくで押さえつけて
無理矢理に清い身体を暴いた
何故犯されているのか
それさえも解っていないエーミールの苦しげな声も、必死に許しを乞う声も
全て聞こえないフリをして
「ひっ!ぅ、やぁ…も、やめて…いや…っ!」
「五月蝿い、黙れ」
もうどうなったっていいから
貴方をどれだけ傷付けようと
嫌われようと
貴方の心に残れるのなら
誰よりも
トントンよりも
深く、深く
刻み付けて
ただこの一瞬だけでも
「……ご、めん…ね」
「……」
掠れた声が、嫌に耳に残った
「……はっ…」
俺のことなんて、見てなかった癖に
「なぁ、グルさん」
「…あぁ、トン氏か。どうした?」
「最近…兄さんの様子、なんか変ちゃうか?元気ないって言うか…心当たりとかあらへん?」
いつも厳格で、生真面目な性格が顔に出ているような男が
今は、“弟“の顔をしている。
「…さぁな」
「……グルッペン…アンタやっぱ、なんか知っとるやろ」
「いいや?見当もつかないな」
「お前…っ!」
首への圧迫感、ほんの少し上がった目線
その先には燃ゆる紅い瞳
怒り、不安、懐疑心、焦燥、緊張、悲哀、困惑、興奮
その全てをごっちゃ混ぜにして燃え続ける紅
炎の紅は命の紅
俺の冷たい赤とは違う
俺の赤は血の赤だ
とても
“あの人“には似合わない
「そんなに気になるなら、『エーミール』に聞けばいいじゃないか」
「!…っ」
「お前は『エーミール』の“弟“なんだから」
ふと、圧迫感が消えた
身を翻し歩き去って行く彼の首には
いつも紅いマフラーが靡いている
あれはアイツの“兄“が、冬嫌いの“弟“を想って贈ったモノ
ならば
俺に贈られた柘榴石が埋められたこの万年筆は
誰を想って贈られたモノなのか
「…一方的な愛とはどうしようも無いものだな」
もうどうやったって彼の心は手に入らないのだから
せめてその身体だけでも支配してやろう。
とても清いなどとは言えないコレは
愛憎と言われるモノだろうか
もし、次があるのなら
“あの人”の実の弟として生まれたい
嗚呼
ないモノ強請りは虚しいな
はい、いかがでしたでしょうか
さて
ちょこっと(?)登場人物紹介〜
em→御家が没落し親戚にも容姿を理由に引取りを拒否され路頭に迷いかけている所をgr両親に救われる。tnの事は勿論大切にしていたし、どんな時も思っていたが、それはそれとしてgrの事も心の底から大切にしていた。tnと重ねていたのは無意識で、grも実の弟のように思っていた。これから先の人生は、grを歪ませた罪悪感と共に生きていくことになる。
gr→ただたたお兄ちゃん大好きな頭の良い子供だったが、その聡明さや第六感の鋭さ故に気付かなくていい事にまで気付いてしまった哀れな人。tnとは軍学校の同級生で悪友だったが彼の出自に関しては何も知らなかった。大好きな兄が自分じゃない誰かをずっと見ていたことに嫉妬を拗らせ自暴自棄になってしまった。自分が欲しくて堪らない物を当たり前に持っているtnが羨ましくて仕方ない。
tn→今回一番何も知らない人。ただ大好きな兄と生き別れて偶然再会できた事に物凄く喜んでいたら途端に兄の元気が無くなったのでめちゃくちゃに混乱している。emがgrの義兄になっていた事はemが軍に来るまで知らなかった。emへの好意は無自覚。鈍感兄弟。
てな感じです
作者gremとtnemがトップクラスで好きなんですけどね、好きなシュチュも一緒なんでパターン化してしまうのが難点ですね。
gremはドッロドロの激重感情系
tnemは両片思いとか報われない系
大好物です。
リクエストなど恵んでくだされば作者がとても喜びます(誰得)
それでは、また次の作品で……
コメント
4件
ヤバい…いいッ!自分には掛けないようなストーリー感?を持っていてとてつもなく好き…ッ(⌒▽⌒)
初コメ失礼します、ホントにもう好きです(?) こういうドロドロ系でしか得られない栄養素があるんですよ…😩😩主さんはそれを良く分かっていらっしゃる…🥹お兄ちゃん大好きっ子だったgrさんが豹変するのがもう…😩😩😩😩無事心を貫かれました。
私こういうパターン大好きなんです!今回もすっごく素晴らしいお話でした!