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誰もいない家に夫が帰宅すれば、すぐに連絡がくるに決まっている。
……急がないと……
新幹線の中から、母に
“緊急事態で亜優と帰る。もう新幹線に乗ってる。15時以降出来るだけ早くアオちゃんに会えるようにお願いして”
と、メッセージを送った。
アオちゃんは、母の友人の葵さんという弁護士。
母がアオちゃんって言うから私もアオちゃんって言うけど、きちんと会ったことはない。
60代の今も現役弁護士さんなのは、確かだ。
両親に心配をかけたくないけれど…詳細が耳に入るのはどうかと思うけど…弁護士を探している時間はない。
夫の怒りが亜優に向くのが、一番怖い。
それは避けないと…急がないといけない。
“亜優と二人で帰ってアオちゃんって、邦晴くん?”
“帰ったら言う。お願いやから、早くアオちゃんに会わせて”
亜優には、冬休みだからおばあちゃんの家にお泊まり…と言って14時過ぎに実家に着いた。
「お父さんも…お姉ちゃんも?」
「お母さんから、直美と亜優が緊急事態って送ってきたから、早退してきた。亜優ちゃ~ん、久しぶり~」
「えりちゃんは?」
「絵梨のこと覚えてる?かしこいなぁ、亜優ちゃん。冬休みの学童クラブに行ってるけど、おばちゃんと一緒に迎えに行く?お泊まりしてもええよ?」
仕事を早退してきた姉は、実家の近くに住んでいる。
いとこの絵梨ちゃんと遊んだ記憶のある亜優を連れて帰ろうとしてくれているのだけど
「ママ」
亜優が私の手をギュッと握り……お泊まりは失敗した。
子どもながらに……ううん、子どもだから、何かを感じているのかもしれない。