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誰も知らない、高嶺の花の裏側3
第82話 〚 三日目の朝は、笑いから始まる〛
― 湊視点 ―
朝。
カーテンの隙間から、
三日目の光が差し込んできて、
自然と目が覚めた。
(……もう三日目か)
修学旅行も、
今日で終わり。
少し寂しくて、
でも早く家に帰りたい気持ちもあって、
変な感じだった。
布団を抜け出して、
静かに準備を始める。
顔を洗って戻ると、
玲央はもう起きていた。
「おはよ、湊」
「……おはよ」
三日目の朝は、
声が少しだけ出やすかった。
玲央は、
部屋の奥を見て言う。
「しおりたち、起こすか」
しおり。
みさと。
りあ。
三人とも、
見事に布団と一体化している。
玲央が、
普通に声をかける。
「おーい、朝だぞー」
……反応なし。
もう一回。
「ほら、三日目だぞ」
……無反応。
湊は、
一瞬考えてから、
真顔になった。
(これは……ボケるしかない)
布団の横に立って、
妙に落ち着いた声で言う。
「業務連絡です。
本日、修学旅行最終日。
寝坊した人は
集合写真で永久に半目になります」
一瞬の静寂。
しおりが、
もぞっと動く。
「……半目はやだ」
間髪入れずに続ける。
「さらに、
寝坊組は
朝ごはんのカレーが
全部冷めてます」
みさとが、
勢いよく起き上がる。
「それは犯罪」
りあが、
布団を引きずりながら言う。
「人生の最後に
それはきつい……」
その瞬間、
四人とも目が合って——
吹き出した。
「何それ!」
「湊、適当すぎ!」
「朝から元気すぎでしょ!」
玲央も、
笑いをこらえきれずに言う。
「三日目にして
一番目覚めいいな」
部屋の空気が、
一気に軽くなる。
昨日までの緊張も、
疲れも、
少しだけ薄れた。
湊は、
その様子を見ながら思った。
(……この朝、
悪くない)
修学旅行三日目は、
笑い声と一緒に
始まった。