TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

空は大雪が降り出し、鉛色の雲が空全体を覆い。太陽光が完璧に遮断されていた。降る雪が積もると同時に気温が急激に下がりだす。

ヒルズタウンのちょうど中央にあるグランド・クレセント・ホテルが見えて来た。所々、雪の塊がある地面を縫うように走り、すぐに人混みを通り抜けて正面の回転扉へと入ると、エントランスから隣のエレベーターに乗った。

確かヘレンは五階の部屋をとっているはずだ。五階のボタンを押そうとしたが……。突然、一階が騒がしくなった。無数の羽音と人々の悲鳴が木霊する。

それでも、モートは五階のボタンを押した。

五階へとエレベーターが着くと、豪奢な壁画や花瓶などが飾られた廊下の真ん中でヘレンや他の宿泊客たちが倒れていた。モートはヘレンに駆け寄った。

ヘレンは全く息をしていなかったが、変わりに32歳だが若々しく美しい顔の全体が赤く腫れあがり、浮き出た血管がドクドクと大きく脈打っている。

だが、ヘレンは生きている。その証拠にヘレンの魂はこれ以上ないほど赤い色だったからだ。モートは呼吸困難を何らかの毒か病気と考えた。

オーゼムを連れてこなかったのが、悔やまれるが。次の行動をした。

廊下の真上にあるシャンデリアを中心に、無数の蝿が舞っている。原因はこの蝿だと考え。瞬間、全ての蝿が銀の大鎌で真っ二つに分かれていった。蝿の断片がパラパラと落ちる。

「オーゼム……」

ヘレンの容態は徐々に悪化していく。

魂の色全体が弱まってきた。

だが、モートにはどうすることもできなかった。

その時、503号室の電話のベルが鳴る音が聞こえてきた。

モートはすぐさま503号室に駆けだして、広々としたベッドの端にある電話にでた。

モートは電話の主が誰なのかもわからない。この部屋がヘレンの部屋なのかもわからなかった。ただ、一連の助かる可能性が他になかったからだ。

「きみは、たぶんモート君だね?」

電話の主はやはりオーゼムだった。

モートは早口でヘレンが倒れたのと、無数の蝿のことを伝えた。

「私は今、クリフタウンの「ビルド」というレストランにいるんだ。だから、手を貸せないけど、それは暴食のベルゼブブのグリモワールだと思う。疫病を扱うんだ。その蝿は。だから、ベルゼブブのグリモワールを狩ってくれないか? ヘレンさんはそれで元通りになるはずだよ。頼んだよ。モート君」


オーゼムも早口で伝えている。

モートと同じく。オーゼムも何らかの可能性だけで行動をしているのだろう。

「さあ、賭けをしよう。モート君。勿論、ヘレンさんの命が助かる方へ賭けるんだ!」

モートはオーゼムが何故色々と知ることができたのかは、気にせずに受話器を置くと、急いでグリモワールを持つ犯人を捜しに行った。


Gluttony 6


厨房からか数枚の銀食器の音とナイフとフォークの音以外に、アリスは蝿の羽音が聞こえていた。とても不快に思うと同時に、何故だか奇妙だなと思えてきた。

「ねえ、シンクレア。この店の……たぶん外だと思うんですが、蝿がいるみたいなの」

テーブルの真向いのシンクレアも不快な顔を少しだけ表にだしていた。

「そうね。きっと店の外で誰かが踏んづけた腐ったガムがたくさんあるんだわ」

「そう?」

「ええ。ここクリフタウンには、従姉妹のコリンたちがいるんだけど、いつもクリフタウンの子供たちはガムを噛んでは道路に捨てて踏んづけたままだって、よく言っているのよね」

シンクレアの話は友達として、とても楽しいのだが。アリスはそれでも奇妙な感じがぬぐえなかった。窓の外を見てみると、大雪が降り出していた。防寒具を着ている歩行者や車もまったく見当たらない。

「ねえ、一度。この店から出ませんか?」

アリスは思い切って言った。だが、シンクレアは羊肉のソテーと海藻サラダ。クルミのパイと赤ワインとを半分も残していたので、即座に首を振った。

アリスは仕方がないので、楽しい昼食を途中で諦めた。

「やあ、アリスさん」

アリスがナイフとフォークを置いて振り向いてみると、その声の主はオーゼムだった。オーゼムは至って自然な態度でアリスの傍のテーブルに着いた。アリスはどうしても聞いてみたかったことをオーゼムに聞くことにした。それはモートの一連の行動だった。矛盾しているが、オーゼムなら必ず助けてくれると信じているが。やはり、モートのことが心配だった。

「オーゼムさん。モートは最近、よくどこかへと行っています。モートに聞いても何も話してもくれないし、何故かとても危険なことをしているような感じがします。何日も大学を休みがちになったり、一体? モートは何をしているのでしょうか?」

オーゼムはニッコリ笑って、通り過ぎるウエイターに羊肉のソテーのデラックスを頼んだ。

「えーと、これは……言っていいのかな? でも、やがてあなたも知ることになるでしょう。それは、あなただけではなく。この街全体の人々が知ることになりますが……。私は嘘は言えませんので、例え話になりますが。ある賭けをモート君としています。それは大きな賭けです。勿論、世界の終末を回避するためです。モート君はその賭けのために色々と大変なことをしているのですよ。前に話しましたね。七つの大罪の罪人を狩る話を。それらがあなたの中でいずれ答えを導いてくれますよ」

アリスはオーゼムの誠実さに負け。今は何も知らなくても、それでいいんだと思えてきた。窓の外からは相変わらず。蝿の羽音がしているが、徐々に羽音自体が大きくなってきていた。

「お連れの方とアリスさん。蝿が気になって仕方がないといった顔ですね。大丈夫。モート君に賭けましょう」

loading

この作品はいかがでしたか?

6

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚