こんにちは
主です
パラ日帝増やします。
⚠注意⚠
パラ日帝
BL/流血表情有り
記憶喪失
何でも許せる方のみどうぞ
目を覚ますと、冷たいコンクリートの上にいた。自身は、目が悪いため、視界がぼやけていて周囲がはっきり見えない。しかし、どうやら知っている場所ではなさそうだ。警戒心を高めながら、周りを見渡す。意識がはっきりしてくるにつれて異臭を感じ、うっと吐きそうになった。床には誰かの血液が広がっている。その向こうには、ぐったりと倒れている若い女性。その腹には何本もの刃物が刺さっている。早く救急車を呼ばなければ、と体を動かそうとした時、自分の手足が縄で固く縛られていることに気付く。身動いでみたが無駄だった。
(まさか……誘拐殺人…?)
頭の中でその答えが出て来た。こういう時どうしたらいいかは訓練で習っている。ひとまず周囲の人間の生死を確認せねばならない。足を伸ばし、倒れている女性を揺らしてみるが反応はない。目を凝らしてよく見ると、彼は同じ訓練場の制服を着ている。その特徴的な、マッシュを見れば、視力がなくても分かってしまう。
「………駄目だ」
完全に死んでいる。背後からこつりこつりとこちらへ近付いてくる靴音があった。振り返ると、見覚えの無い顔がそこにあった。高校生くらいの学生だ。
「……おはよう。ナイチ」
「ナイチ…?」
駄目だ。全く覚え出せない。そもそも、この高校生も誘拐されている可能性があるな。
「……覚えて…ないよね…」
何か言った様に聞こえたが、気のせいだろう無視をする。すると、その子は私の手を握り締めて言った。
「絶対に逃さない…♡」
「っ…?」
一瞬ズキッと頭の中に何かが入った。 それは一瞬だったが、妙に懐かしさと共に全身に恐怖が走った。ある男性が、荒い呼吸を整え、ゆっくりとその重い扉を開ける。目の前に広がる光景はまるで別世界に足を踏み入れたみたいな、そんな感覚を覚えた。逃げている…?後ろから追い掛けてくる男から逃れようとしているのが、逃げている男性を背後から覆い被さり、踠く体を両腕で押さえ付けている。男性は何度も抵抗を試みているけど段々と弱くなっていく。
「……ナイチ?」
「あっ……」
少年はふらついた身体を支えてくれた。優しい人なのかと思ったが、普通に考えて絶対に逃さないと理由のわからない言葉を喋っていたのに奴が、優しい人だとは思えない。
「……なぁ…男性は…」
「あ、この死体なら大丈夫!」
何処が大丈夫なのだとツッコミたくなったが、今はそんな事を言いたい訳では無い。
「おい。お前も此処に連れて来られたのか?」
「ううん!僕が殺ったの!」
取り敢えず、コイツは放置で良いな。学生があんな酷い事をするなんて、あり得ない。気を取り直して、頑丈そうな扉に向かう。
「何してるの?」
「壊すんだ」
ドンッと足で蹴るが開かない。知っていたが、一筋縄では行かないと言う事か。
「ねぇ…此処に鍵があると言ったら…?」
後ろから優しく抱きしめられ、少年の体温と自分の体温が重なる。
「…離せ」
「やだ。ナイチと僕は一緒に居るんだ」
即答で、拒否をされてしまった。それより、どんだけ力強く抱き締めるんだよ。優しく抱き締めたと感じたが、直ぐに強く抱き締めた。離す事に諦めた自分は、ため息を吐き先程の言葉を思い出す。
「……鍵を出して見せろ」
「……良いよ」
少し間を置いた後、金色に輝く小さな鍵を出された。その鍵が、この扉の鍵だとすれば、犯人はこの少年に決まる。その前に、理由を訪ねてみよう。
「何が目的だ?」
「ナイチと一緒に暮らしたいから」
「何故、女を殺した」
「邪魔だったから」
質問をしていくうちに、ますます頭がパンクしそうになる。つまり、私と一緒に居たいのに隣の死んだ女が邪魔をするから、殺したと言う事か。
「何故、私を求む」
「好きだから」
「…初対面だぞ俺等は」
初対面の相手を好きになるか普通?いや、人を殺す時点で精神は普通ではないな。
「…俺に何を望む」
「ずっと一緒に居て」
此処は、相手を余り刺激せず大人しくしておくのが懸命か。
「…良いだろう」
「言ったね?約束だよ?」
そこから、始まった俺と殺人鬼の話。
穏やかな昼下がり。ティータイムには似つかわしくない冷たい声が耳を掠めた。
「ねぇ、何で昨日放課後に俺以外の別の男と喋ってたの?」
背筋が粟立って、息苦しさに胸を押さえた。こうなっては、どう反応すれば正解なのか分からない。分からなくて、ただ呆然と目の前の人を見つめた。
「海……」
呼びかけた声に持ち上がった視線が交わった瞬間、色素の薄い水色がかった瞳が優しく笑った。その、瞳の奥は笑っていなかった。また、苛ついているのか。そう瞬時に察知できるようになった俺も成長したものだ。って、感心している場合ではない。彼の機嫌を損ねるような行為をしたのかと記憶を辿るけど、思い当たる節が無くて心の中で首をかしげる。でも、それは確かに。弟が不機嫌な時の冷えた笑い方だった。なんとかしなければ。
「大学の関係者だ」
「本当?」
「嗚呼」
海は普段は優しいし、たまに口は悪いがそれでも大事な弟だ。少し、心配性な所が苦だが。
「……分かった」
納得した様子を見せた後、空に呼ばれてその場から立ち去った。俺は、一息つくと海の不安性も何とかして欲しいと考える。
唐木家の大きな庭が一望できるバルコニー。そこに設置された西洋風のアイボリーに統一されたパラソル付きのテーブルセットは、素人から見てもその価値の高さが分かるくらいの気品がある。なんでも、とても有名なデザイナーさんの作品だそうで、俺のために少年がわざわざ海外から輸入して用意してくれたものらしい。何処にそんな金があるんだよ。
「どう?ナイチの為に用意したんだよ!」
「なぁ、お前捕まらないのか?」
「警察官さんは先に買収しているから大丈夫だよ!」
俺は、この時初めてやばい奴に出会ったと感じた。海も確かに、少し執着心が強かったが、この子は別だ。
「?どうしたの?」
「…何でも無い」
「そっか!あ、あの死体さんは処分したからもう臭わないよ!」
そう言う問題で無い。声を出そうとすると欠伸が小さく出てしまった。俺が最も欠伸をすると少年は、豪華な腕時計を見ながらこう言う。
「もう、1時か!そろそろ寝よ!」
抵抗するのも疲れのせいか出来ず、危険だが着いていく事にした。
「………」
タワーマンションの最上階から、都会の灯りを見下ろす。全てを掌握できそうなのに、本当に欲しいものは何一つ手に入らない途方に暮れるほどの長い時間を、貴方を思うだけで消化し続けて。この想いが形になるのだとか、ならないのだとか。そんなことはどうでもよかった。時間を共有できたら、それで良いのだ。
「ナイチ…」
やっぱり、記憶はもう無いのかな…?
鬱々たる霖雨が地面に溜まり、長い雨も虚し熱さも常識になっているこの国では、他国と比べると少し珍しいかも知れない。地面を見ながら、歩みを進める。水溜りをピチャピチャと音を小さく立てた。夜は、とうに明けたのに、重い雲天のせいか、やけに暗い。
「……なぁ」
隣りにいるナイチは、恐る恐ると言った表情で僕に語り掛ける。
「お前、外に出ても大丈夫なのか…?」
その問いに、僕はまたニコリと笑ってみせた。大丈夫だと、あの時ナイチが僕に語ってくれた様に。
「大丈夫だよ!さっきも言ったけど、お金で解決したから!」
「いや、それは駄目だろ…」
難しいな。どうしたら、分かってくれるのだろうか。だけど、不思議に思わないのかな。一応、僕は人を殺したんだ。一般人なら怖いとか恐怖心や不安心を抱くと思うのだが。考えたら、直ぐに声に出てしまう僕は、ナイチに語り掛ける。
「ねぇ、怖くないの?僕は、人を殺したんだよ?」
「…何故だろうな。怖いとは思わない」
次の言葉に、ピクリと身体が固まる。
「寧ろ、お前と居ると何かを思い出せそうなんだ」
何か…か。
どうやら、ナイチは完全に記憶を失っているのでは無く、僕と居ると少しずつ思い出せる、一時的な記憶喪失なのかな。
「…そっか」
僕は、ボソリと呟いた。
読んで下さり有り難う御座います
それでは、さようなら
コメント
1件
パラ日帝も美味だ(^p^)