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「……かっちゃん」
「ん?」
「そんなに僕と一緒にいたいの?」
「……今さら聞くか?」
勝己は少しだけ眉を寄せる。
「一緒にいたいとか、そういう簡単な話じゃねェんだよ」
「……?」
「俺の中じゃ、もうお前がいるのが普通なんだ」
繋いだ手を見下ろす。
「朝起きたら、お前がいる」
「夜になったら、お前と寝る」
「どっか行くなら一緒に行く」
「帰ってきたら、お前がいる」
「……うん」
「それが当たり前になってんだよ」
「だから、そこからお前だけいなくなる未来を考えると……」
「……無理だ」
「かっちゃん……」
「考えたくねェ」
いつもの強気な声ではなかった。
「お前が俺の知らねェところで笑ってるのも嫌だ」
「……」
「俺の知らねェところで泣いてんのも嫌だ」
「……うん」
「俺のいないところで、何かを決めるのも怖ェ」
「だって俺、お前のこと全部知っててェから」
「全部?」
「全部」
迷いなく答える。
「何が好きで、何が嫌で、何で笑うのか。何が怖ェのか。誰に傷つけられたのか」
「……」
「お前が幸せな時、俺も隣で笑いてェ」
「お前が苦しい時は、俺が一番近くにいてェ」
少しだけ、握る手に力が入る。
「……だから、離れたくねェ」
「僕が『一人になりたい』って言ったら?」
「……その時は離れる」
「ちゃんと?」
「ああ」
「寂しくても?」
「…寂しくても」
「……かっちゃん、偉いね」
「うるせェ」
少しだけ顔を逸らしてから、また出久を見る。
「……でも」
「ん?」
「戻ってきたら、俺のところに来い」
「……うん」
「俺も戻る」
「うん」
「何回でも」
勝己は出久の手を自分の胸元へ引き寄せる。
「俺、お前を手放す気ねェから」
「……」
「お前が俺を選んでくれる限り、何回でも隣に戻る」。
「死ぬまで?」
「死ぬまで」
「……来世でも?」
「来世でも」
「その次も?」
「その次も」
勝己は当たり前みたいに言う。
「何回生まれ変わっても、お前を探す」
「……どうして?」
「俺の人生に、お前が必要だからだ」
「……」
「一度見つけたからには、もう知らねェふりなんかできねェ」
その声は静かだった。
けれど、そこにある執着だけは隠しようがない。
「出久。ずっと俺の隣にいろ」
「……僕が自分で選んでいいなら」
「ああ」
「じゃあ、いるよ」
その答えを聞いた瞬間、勝己は、ようやく安心したように笑った。
「……なら、一生だ」
「ふふ」
「一生じゃ足りねェけどな」
「またそれ言ってる」
「当たり前だろ」
そして、何でもないことのように。
「――ずっと俺の出久だからな♡」
ひま
45
青嵐
28
コメント
1件
読了しました。 「お前が俺を選んでくれる限り、何回でも隣に戻る」——この一文に全部詰まってますね。かっちゃんの「離れたくない」が強さだけじゃなくて、ちゃんと相手の意思を尊重した上での“執着”として描かれているところが本当に好きです。「寂しくても離れる」と言えるのが逆に深い信頼を感じさせて、最後の「ずっと俺の出久だからな」で全部持っていかれました……尊いです。