ソファの上の上着を羽織り、窓をそっと開ける。体の熱が春の生温い風でも冷えていくくらい、興奮していたことを実感する。
「楽しかったなぁ…」
先程までのゲーム大会を思い出し、ふっと笑みが溢れる。こんな夜でも、辺りに咲く花々からは、甘い香りが溢れ出している。
「あの香りで虫を誘うんだっけ。食虫植物って。」
聞いたことあったような。無かったような。きりやんかスマイル辺りに聞いたら教えてくれるのだろう。真実を知る気は別に無いが。
ふと、上を向くと、桜の花弁が真上から降ってきた。真上に桜の木は生えていないため、窓枠の上側に当たったのだろう。そこを見ていると、また花弁がやってきた。窓から入りそうになった花弁を軽く押し出し、花弁がやってきた方向を向く。
星々が散らばる夜空の中、月の真下に、満開の桜が一本咲いていた。
その桜は高く、大きい。星々と比べても違和感がない程に。
こんな光景にしみじみするなんて
「僕らしくない…かな。」
でもこの光景は、忘れないようにしよう。そう、思えた。
ワードパレット 24.金木犀(楽しい 星 香り)
Broooock
コメント
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さすがです…
(o^-')b…良き丸水産…()