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まあ、好きだとか愛してるとか言われて満足するならいくらでも言おう。問題は僕が彼女のことを好きでもないし愛してもいないことだ。でも僕ももう十六歳。要領はよくない方だけど、それでも保身のために嘘をつくくらいのスキルは身についている。
「話は戻るけど、好きだとか愛してるとか言えばいいんだよね」
「そうだけど、ボクがリクに心にもないそのセリフをさんざん言われて傷ついたことは覚えていてくれ」
「セフレ扱いされたそうだけど、好きだとは言ってくれたんだね」
「ああ、セックスする前だけな。気が済むまでセックスしたあとはタバコを吸い出して、タバコ嫌いなボクへの嫌がらせでタバコの煙をボクの顔に吐き出してボクをむせ返らせて喜んでるようなやつだった」
「そんな扱いされたから別れたんだね」
「いや、愚かなボクはボクさえ我慢すればいつかリクの態度もよくなるはずだと思い込んだ。結局、半年以上リクにセフレ扱いされ続けた」
恋人相手ならそんな雑な扱いはしない。確かにそれではただのセフレ扱いだ。
それにしても、僕をいいように翻弄するしたたかな彼女を何ヶ月もセフレとして服従させていたリクという男は、童貞の僕には想像を超えた恋愛強者だ。
生態系ピラミッドでたとえれば、彼女がヘビならリクはヘビを捕食するタカ。僕はヘビに食べられるカエル、いやもしかするとカエルに食べられるミミズかもしれない。
「さあ夏梅、ボクの求める言葉を思う存分に言ってくれ!」
すでに裸の体は見られているが、心まで裸にされようとしている気がして恐怖した。好きだとか愛してるとか心にもないセリフをシャワーのように浴びせるつもりだったのに、じっと見つめてくる彼女の視線にすべて見破られそうで僕は顔を背けてしまった。
「ちょっと待ってて。緊張してトイレに行きたくなってきた」
「さすが童貞。反応が初々しい」
でも映山紅さん、その反応はヤリマンみたいでなんか嫌だ!
公園に誰もいないと思っていたが、男子トイレから人声が聞こえてきた。タバコのにおいが鼻を刺す。どうやらトイレにいる二人はそこでずっとタバコを吸っているらしい。タバコ嫌いなのは僕も同じ。男子トイレと女子トイレに挟まれた多目的トイレで用を済ませることにした。