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《第一章:塩﨑太智》
____覚悟は声にしない____
俺は、 あんまり喋らへんほうやと思う。
みんな「え、?」って思った?笑
まぁ、画面の中では好きにやらさせてもろてるけどな笑
突拍子もなくふざけたり、興味無い話は聞いてへんかったり、、
でも、正直のところ黙ってると「考えてるん?」なんて聞かれんねんけど、実際はもう考え終わってることのほうが多いねん。
言葉にする前に、だいたい自分の中で結論が出てまう。
それをわざわざ、外に出す必要もないなって思ってるだけやねん
この部屋に入った瞬間、 理解したんよ
一つの手紙と見えへん出口…全部含めて。
「誰かが、最初に引き受けなあかん場所や」
そういう場所やって。
勇斗は、無意識に前に出てた。
あいつはそういうやつやねん。
進むことに、迷いがない。
柔太朗は、空気を探ってたし、
仁人は、何か言おうとして、やめた。
舜太は、黙って全体を見てた。
せやから、俺が行くべきやと思った。
理由は単純
メンバーが大切だから。
ふと、壁の花を見た。
ヒガンバナ____.
直ぐにこのガラスケースが俺のもんやって分かった。
正直俺は、きれいやとは思わんかった。
派手で、近寄りがたい。
せやのになぜか、目を逸らされへんかった。
花言葉は…
【覚悟】
「……せやな、」
誰に言うでもなく、小さく息を吐いた。
覚悟って、特別な人間が持つもんやと思ってた。
でもちゃうかったんよ
覚悟って、誰かが持たなあかんものやねん
ほんで、持てる人間が持つ。
それだけの話
怖くなかったわけじゃないんよ?
ただな、怖さより先に計算が来た
「俺が行けば、この場は落ち着く」
誰かが先に立てば、誰かが救われる。
それなら、迷う理由はなかった。
こいつらのためなら、迷う選択肢なんてなかった。
「太智?」
誰かが呼んだ。
俺は振り返らへんかった。
振り返ったら、言葉が増える。
言葉が増えると、迷いが生まれる。
それは、この場にいらんものやねん。
ガラスケースの前に立つ。
中はたくさんのヒガンバナが敷き詰められているはずやのに、空っぽに見えた。
最初の席…
「……まあ、俺やなぁ…笑」
そう思った。
納得のほうが、不安より大きかった。
標本になるいうんは、消えることやないと思うねん。
動かなくなること
これ以上、選ばんでええように。
これ以上、誰かが前に出んでええように。
俺は、自分の感情をあんまり信用してへん。
でも、この判断だけは間違ってへんと思ってる。
それで十分や
テーブルにある睡眠薬をのみ、一つの注射器を打った。
そしてガラスの方へ足を進める。
だんだんと音が遠のいていく
声も、
足音も。
視界が滲んでいく中で
みんなの姿が、ちゃんと見えた。
みんなの声もちゃんと届いた。
「……頼むでみんな。また絶対会おうな、笑」
それだけ、小さく呟いた
大好きだった仲間に向けて。
そして、自分に向けて。
俺の枷でもあったもん、
内に隠していたもん。
それは、俺の小さくて大きな覚悟
メンバーを背負うという【覚悟】
番号①
塩﨑太智
俺は、【覚悟】 を置いていった。
コメント
1件
やっぱり標本だ!初手が太智くんなの解釈一致です!!