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《 第二章:山中柔太朗 》
____祝福する側でいるということ____
俺は、空気が重くなるのが苦手。
誰かが黙ると、理由を考える前に口が動いてる。
「まあまあ、笑」
「なんとかなるって」
自分でも不思議なくらい、
自然に。
ここに来てからも、それは変わらなかった
太ちゃんが動いたあと、場が崩れそうになるのが分かって、俺は笑った。
無理してる自覚なら正直あった。
でも、笑わないと…
誰かが壊れそうだった、
俺自身も、なんとか気持ちを隠そうと笑うしか無かった。
ガラスケースに描かれたポインセチアを見たとき、俺のやつだって直ぐに分かった。
それに、書かれた花言葉を見てちょっとだけ苦笑いした。
【祝福】
【幸せを祈る】
「……俺っぽすぎでしょ、笑」
決して主役とは言えない花
でも、場を明るくする色
ああ、そっか…
俺、ずっとこれだったんだ。
祝福する側って、案外孤独だと思う
自分が祝われる場所には、立たないから
俺はそれでもいいって、思ってた。
思ってた、はずだった。
でも気づいたんだ
俺がここに残ると、また笑う。
また、自分を後回しにするんじゃないかって
それは優しさでもあるけど、同時に、俺限界なんだなって、
「……じゃあさ」
誰にも聞こえない声で、俺は言った。
「俺がみんなの幸せを願って、引き受けるよ」
標本になるって、消えることじゃないと思う。
願いを固定すること
幸せでいてほしいっていう気持ちを
先に眠りについた太智の前で優しく指を組んで目を閉じた。
またきっと出逢えるはず…
その時はみんなが幸せでありますように…
太ちゃん、俺は一人にしないよ
俺がずっと求めていたもの
みんなが幸せであること。
それと同時に俺の枷でもあった
自分の気持ちを後回しにすること。
睡眠薬と注射器を手に取った。
そして、ガラスの向こうで、俺は最後に笑った。
無理じゃない笑顔でもう一度【幸せでありますように】
番号②
山中柔太朗
俺は、【祝福】 を置いていった。