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第7話 「翠草国 前半」
翠草国は、静かだった。風の音も、鳥の声も、どこか抑えられているように感じる。
草木が生い茂る城の前で、
はるてぃー、うた、山田、こむぎ、ゆーま、きゅー、そーが足を止める。
「……なんか、空気重ない?」 「緊張するっす……」
そーが小声で言う。
ゆーまは一歩前に出て、冷静に告げた。
「あのー……」 「ここの王子と旅をすることは、難しいかと」
「?」
はるてぃーが首を傾げる。
「なんでだ?」
ゆーまは少し言いにくそうにしながらも、続ける。
「今まで、勧誘を許可したことはないですし……」 「しかも」
一瞬、言葉を選んで。
「……冷たい態度で、圧をかけてきますし……」
その場の空気が、さらに張り詰める。
「えぇ?!」
声を上げたのは、きゅーだった。
「たくぱんはそんなことしないよ!」
「……た、たくぱん、って誰ですか……?」
ゆーまが困惑した顔で聞く。
「?」
きゅーはきょとんとして答える。
「拓人のあだ名だよ?」
一瞬、沈黙。
「拓人……?」 「翠草国の王子、柳瀬 拓人、ですよね……?」
「うん!」 「めっちゃ優しいし、子供好きだし!」
「……同一人物、ですよね……?」
ゆーまの表情が、完全に混乱している。
はるてぃーは腕を組んで考え込み——
ふっと笑った。
「なら、大丈夫じゃね?」
「え?」 「は?」
「きゅーがそう言うならさ」
はるてぃーは、城の奥を見据える。
「とりあえず、行くぞ!」
「ちょ、ちょっと待ってください!」 「圧とか、冷たいとか——」
「会ってから考えりゃいい」
その瞬間。
草が、ざわりと揺れた。
誰かが、こちらを見ている気配だけが残る。
きゅーだけが、にこっと笑った。
「……久しぶりだね、たくぱん」
その声は、まだ誰にも届いていない。
─次回に続く
第8話 1/5 投稿予定