「ぼ、僕……やりたいことありすぎてやり終われるかどうか……」
「やり終わらせるんだよ。今日はもう寝ない!!」
「ええ……明日に備えてしっかり寝た方が……」
「それより未練マシマシのまま幽霊になって現世を一生さまようの方が嫌じゃない?私はスカビオサと一緒にいられるならなんでもいいけど!」
にかっと彼女は綺麗な八重歯を見せて笑う。
かわいい、幼い笑顔。
「……じゃあ、やりたいこと、やろう」
「うん!まず何する?」
「うーん……アイビーは?」
「私はねぇ……商店街回ってー、商人さんに菓子を貰ってー、お洋服見てー、お揃いの小物買ってー……あ!海も行きたいかな!」
「う、海!!?」
「うん!私って幼い頃からここに入れられているでしょ?だから暖かいお風呂にしか入ったことないの。まぁ、本当はそれが一番いいのかもしれないけどね、冷たいお風呂なんて嫌だし」
ね、と彼女は少し寂しそうに眉尻を下げて笑う。
短時間で表情変わりすぎじゃないか、この子。
それから、でも、と言葉をまた紡ぐ。
「たまには、熱い太陽に照らされてキラキラと輝く青い海に沈んでみたい。あっつい砂浜の上にわざと立って、暑い暑いなんて言って笑ってみたい、んだ。」
へらっと笑う、消えちゃいそうな、壊れちゃいそうな。
全く、僕は本当にアイビーに弱いな。
「でも、このままの格好で海に行けば確実に村の人にバレるから……ローブを纏ってフードを深く被ってもらうことになるけれど……いい?」
「ふっ、それはだいぶ暑苦しそうだね。いいよ、それはそれで楽しそうだし、一種の思い出?みたいな?ふふ」
コメント
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幸せになれ()
八重歯かぁ好きです!(唐突な告白)