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成瀬りん
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53
#日常
ももは
551
#バトル
夕焼けが空を赤く染めていた。
ORVAS基地周辺の道を、公太は一人で歩いていた。
足取りは重い。
頭の中では、一祟と唯我の姿が何度も浮かんでは消えていた。
「……くそっ」
思わず漏れた言葉。
気づけば拳を握り締めている。
焦りだけが胸の奥で燻っていた。
その時だった。
前方に立つ人影が、公太の目に映る。
「よぉ、公太君。元気だったか?」
聞き慣れた声。
公太は目を見開いた。
「……あんた、退院したのか!?」
そこにいたのは牧田だった。
以前より顔色は良くなっている。
だが、その身体には今も戦いの傷跡が残っていた。
「あぁ、ようやくだよ」
「心配かけたな」
牧田は穏やかに笑う。
「いや、こっちこそだ」
「まさかあの攻撃食らって、もう歩けるとは思わなかったぜ」
公太は呆れたように笑った。
「あんた、やっぱただのオッサンじゃねぇな」
牧田は肩をすくめる。
「君も顔つきが変わった」
「少し逞しくなったようだ」
その言葉に、公太は照れくさそうに視線を逸らした。
だが次の瞬間。
牧田の言葉が空気を変える。
「そういえば――」
「君のアスガルト修行の件は聞いているのか?」
「……は?」
公太の表情が固まる。
数秒後。
「おい待てぇぇぇぇぇ!!」
公太は全力で基地へ向かって走り出していた。
ORVAS基地・訓練室
バンッ!!
勢いよく扉が開く。
「どういうつもりだ畑中ッ!!」
訓練室に響く怒声。
「俺だけ牧田のとこで修行しろって何考えてんだよ!」
「そんなに俺だけ劣ってるって言いてぇのか!?」
畑中は腕を組んだまま動じない。
「違う」
短い返答。
「お前にしかできない修行だと言っている」
「何が違うんだよ!」
公太は感情をぶつける。
「唯我は唯我で強くなった!」
「一祟だって四幹部ぶっ倒した!」
「なのに俺だけ別メニューかよ!」
畑中は静かに公太を見据えた。
「だからだ」
「……?」
「お前にはお前の強さがある」
「だが今のお前は、それを活かしきれていない」
公太の拳が震える。
「俺はそんな修行、やる気ねぇよ」
畑中は肩をすくめた。
「強制はしない」
「だが――」
その目が鋭くなる。
「お前は自分に何が足りないのかを知ることになる」
「拒否するのは自由だ」
「だが、変われないままでいいのか?」
静寂。
公太は何も言えなかった。
胸の奥に突き刺さる言葉。
変われないままでいいのか。
その問いだけが何度も頭の中で響く。
やがて。
公太はゆっくり顔を上げた。
その瞳には強い炎が宿っていた。
「勘違いすんなよ」
低い声。
「命令されたから行くんじゃねぇ」
一歩前へ出る。
「アビスのためでもねぇ」
さらに一歩。
「俺は――」
拳を握り締める。
「俺は、お前を越えるために強くなるんだ」
「それだけは忘れんなよ」
畑中は一瞬だけ目を見開いた。
そして。
小さく笑う。
「フッ……」
「それでいい」
しかし次の瞬間。
意地の悪い笑みを浮かべた。
「だが――」
「俺を倒す前に潰れなければいいがな」
公太の額に青筋が浮かぶ。
「誰が負けるかよ」
二人の視線がぶつかる。
その背後では、夜の帳がゆっくりと降り始めていた。
アスガルトで待つのは地獄か、それとも成長か。
公太の新たな戦いが、今始まろうとしていた――。
コメント
1件
おおっ、第47話読み終えたわ…!公太の焦りと悔しさ、めちゃくちゃ伝わってきた。牧田が退院してて「アスガルト修行」の話が出たときの「おい待てぇぇぇ!」で一気に惹き込まれたわ。畑中に食ってかかるシーン、感情が爆発してて熱い。でも最後の「俺はお前を越えるために強くなるんだ」で全部持っていかれた…その決意の言葉、痺れるわ。地獄か成長か、公太の新章、ガチで楽しみだ🔥