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1901年 第一次世界大戦開幕
列強の火薬庫と化した世界は、ついに世紀はじめの戦争の幕を開けた。西洋列強の利権争い、そして新興国である英科朝の台頭。これらが引き金となり、国家間の緊張が限界に達した。戦場は大西洋から太平洋へと広がり、自国の存亡を賭けた戦いに臨む。
東京、英科朝政府の会議室では、雅也が将軍として作戦を練っていた。室内には加藤清政、橘、そしてイギリスからの使者であるウィリアムが集まっている。
「敵はアメリカとフランス。だが奴らの装備と兵站は、イギリスとの協力で十分対抗できる。」
雅也は地図上に指を這わせながら説明を続ける。
加藤は厳しい表情で尋ねた。
「問題は太平洋戦線だ。アメリカ海軍の兵力は強大だ。新政府軍との戦いで消耗している俺たちが、どこまで持ちこたえられる?」
橘が不敵な笑みを浮かべた。
「心配するな、俺たちには黒潮軍がある。海上戦なら負けやしない。」
ウィリアムが加藤に一瞥をくれながら口を挟む。
「イギリス空軍も全面的に支援する。アメリカが誇る艦隊を叩き潰してやるさ。」
雅也は皆の視線を集めて静かに告げた。
「これは英科朝の未来を賭けた戦いだ。俺たちが負ければ、この国の独立は失われる。勝つしかない。」
太平洋上では、アメリカ海軍の大艦隊がハワイ付近に布陣していた。これに対抗するのは、日本とイギリスの連合艦隊。さらに黒潮軍の軽快な船団が、敵の補給路を妨害している。
「敵艦隊が動いた!」
観測気球からの報告を受けた橘は即座に指揮を執る。
「速射砲を準備しろ!奴らの前衛を叩き潰す!」
艦砲の轟音が響き渡る中、ウィリアムが搭乗した飛行船が空から敵艦隊を監視していた。
「主力艦を見つけたぞ。砲撃の座標を送る!」
敵の猛攻に耐えながら、黒潮軍の船団が敵艦の側面を狙って突撃を仕掛ける。橘が黒瀬の教えを思い出しながら呟いた。
「船は小さいほど自由が利く。奴らの巨艦を翻弄してやるさ。」
一方、加藤清政はロシア軍とともにアラスカでの戦闘を指揮していた。氷原を渡る過酷な環境の中、アメリカ軍の防衛線を突破するため、異能「十魂」を解放する。
「氷を割れ、『天雷剣』!」
加藤の一振りで凍りついた大地が砕け、敵陣に混乱が広がる。
ロシア兵が声を上げる。
「なんという力だ……これが日本の異能者か。」
加藤は冷たく言い放つ。
「見惚れる暇はない。前進しろ。」