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ーーー残ったのは、蝶の髪飾りだけだった。



骨も残らなかった。



髪の毛1本も。



血の繋がりもない”家族”を繋ぐものは



蝶の髪飾りだけだった。






ーー「カナヲ、お客さん」



最終決戦の後。


皆は、それぞれの道を歩んだ。



善逸さんと禰豆子ちゃんは結婚してーー…



「禰豆子ちゃん!

ーあ、今日は伊之助も一緒?」

「アオイさんのおにぎり、久しぶりに食べたかったみたいで」



伊之助とアオイも、なんだかいい感じだ。




ー冨岡さんは笑顔が戻ってきて


最近は宇隨さんたちと温泉に行ったらしい。


炭治郎たちとお団子を食べに行ったとも聞いた


ーその炭治郎も、炭売の仕事を初めて







……みんな、少しずつ前を向いている。



「ーーうん、禰豆子ちゃんも…問題なさそうだね」



禰豆子ちゃんは、つい最近まで鬼で。


今はすっかり人間だけれど、再発等が無いように、定期的に診断を行っている。


「あ、そうだ。

街の人から金平糖、貰ったんだ。

良かったら禰豆子ちゃんに」

「えーっ!いいんですか?」


ありがとうございます!と笑う笑顔は、なんだかカナエ姉さんが亡くなる前の師範…ううん、しのぶ姉さんに似ている気がして。


そんな無邪気な笑顔に、胸が締め付けられた。



(最低だ…)


人の笑顔で、こんな気持ちになるなんて。






私はまったく未来に進めていない。



それどころか、前を向けてすらいない。



あの鬼の首を切ったはずの今でも


夢には出てくるし、恐怖なのか…手が震える時がある。


それどころか、常日頃から怒りさえ感じる





「怒ってますか?」





「そうですね


私はいつも



怒っているかもしれない。」




「鬼に最愛の姉を


惨殺された時から」




あの日。


眠れなくて、部屋の窓を開け、綺麗な月を眺めていたあの日。



偶然聞いた、本音。



カナエ姉さんが亡くなってから


彼女の意志を継ぐように笑顔を貼り付ける様になったしのぶ姉さんの



恐らく、炭治郎以外には明かさなかった


心の底にグツグツと煮え立っていた本音。



しのぶ 姉さんは、どうやって耐えていたのだろう。





どうやって、笑顔でいたのだろう。



神様は残酷だ。



毎回、大切なものを奪う。



大切に思うことが、まるで悪だと示すかのように。



最近流行りだした外国の考えだと、これが試練だと


神から与えられたものだと言われるが


私はまったく納得できない。



人を失い、それでも尚笑顔で受け入れることが善とするならば


私は悪でもいい。



骨も残らず、ただ人々の記憶の中でのものとなったしのぶ姉さんを


繋ぐことが出来るのは、思い出だけで。












ーー涙が溢れ



雫がぽたりと庭の花に落ちる。



ばたばたと廊下は騒がしくなり、アオイが洗濯物を取り入れる音が聞こえた。









雨だ。




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