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メイズと名付けたはいいが、フリーザはそこからしばらく黙りこくっていた。確かめたいことがあまりにも多すぎるからだ。
まず、兵士として生み出したからにはどれほどの戦闘力があるのか確かめるつもりではあった。これはメイズが完成する前から楽しみにしていたことだった。
だが、フリーザは彼女をただの手駒として生み出したわけではない。
欠陥のない兵士として生み出したのだ。心血を注いで。
だから、ただ強いというだけではいけないのである。
仲間と協力して戦う協調性、率先して仲間を率いるリーダーシップ、想定外の事態にも冷静に対処できる判断力、今の状況を慎重に見極める洞察力、人の懐に巧妙に入り込む狡猾さ。
フリーザはいったん落ち着くことにした。今彼女の全てを見なくても、これから少しずつ確かめていけば良いだけのことだ。
早く彼女を任務に出すためにも、まずはフリーザ軍で行うことについて説明することが先だと判断した。
「さて、メイズさん」
「はい」
「あなたはこれからここフリーザ軍で働くことになります。なので、これからあなたにここでの過ごし方などを説明して差し上げます。1度しか説明しないのでしっかり聞いていてくださいね」
「了解しましたフリーザ様」
「…なぜ私の名前を知っているのです?まだ教えた記憶はないのですが」
「あ、フリーザ様…そこについてなのですが…。」
1人の研究員が恐る恐る手を上げて説明する。
メイズの製作段階に進む前。フリーザらは彼女を完璧な兵士にするために必要な要素について綿密な会議を重ねていた。
その際彼らは「フリーザに反抗しない」という点にも重きを置いていた。高い忠誠心を持ち、フリーザに絶対服従する兵士である必要があった。
そこで、彼女の人格をプログラミングするにあたって研究者らはフリーザという存在についての認知とそれに対する服従の精神を組み込んだのだ。だから彼女はフリーザの名を口にした。
「なるほど、そういうことだったのですか」
「はい、致命的なシステムエラーが起こらない限り彼女は決してフリーザ様に反抗しません」
「ありがとうございます。ではメイズさん、早速説明を始めますよ」
「あ、お、お待ちください!」
「…なんです?」
「ひっ……あの…研究室を出る前にまずは彼女に服を着させた方が良いのでは…。」
「ああ…」
忘れていた、とでも言うようにフリーザはメイズを見やった。細胞単位から体を作られ、たった今カプセルを出て来たばかりのメイズは当然ながら服など身につけていない。
「…そうですね、まずは服を着ましょうか」