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「ここがフリーザ軍の本部です。急を要することもあるので、召集がかかった際には即刻ここへ来てください」
「承知致しました」
フリーザは宇宙船の中を巡りながら淡々と説明を行った。
それに対してメイズは特段メモを取ったり質問をしたりすることなく、ただ頷きながら聞いているだけ。
…本当に彼女は自分の話を理解しているのだろうか?そんな不安がよぎる。
「あなた、本当に分かったんでしょうね?」
「ええ、もちろん」
「そこまで言うのなら信じますよ。もし聞いていないことが分かったらその時点で………ああ、いえ。やはりなんでもありません。忘れてください」
「そう、ですか…。」
もし聞いていないことが分かったら、その時点で“あなたを消しますからね”と、フリーザはそう言いかけていた。
だがフリーザはここで踏みとどまった。メイズを消すような真似は余程のことがない限りするべきではないからだ。
メイズはありとあらゆるものを注いで作った兵士なのだ。そこら辺の一般兵とは格が違う存在。
余程大きなトラブルでも起こさない限り、こんな大作を易々と消すべきではない。
「さて、早速任務に…と言いたいところですが、まずはあなたの力を確かめなければなりませんね」
「はい」
「トレーニングルームがあります。そこでお手並み拝見とさせていただきますよ」
「わかりました」
こうしてトレーニングルームにやって来たフリーザとメイズ。
フリーザは変身することなくメイズの正面に立った。フリーザは変身タイプの宇宙人であり、変身の段階が進めば進むほど戦闘力がアップする。
しかし、フリーザは今は変身する必要はないと考えていた。いくらメイズ相手とはいえ身体のベースはサイヤ人。簡単に捻れると思っていた。
メイズは真っ直ぐとフリーザを見やる。逃がさない、というオーラを放っている。目の前のフリーザを完全に標的として捉えていた。
「さあ、どこからでもかかって来なさい。私がお相手しましょう」
「…では、失礼します」
そう言ったメイズは、走るなりなんなりして迫ってくるかと思いきや…ゆっくりと歩いて迫って来た。
フリーザは驚いた。こう言う時、普通は全速で突っ込んでくるのが一般的だと思っていたからだ。
よりによって歩くなどと言う隙だらけのやり方をするとは。本当にメイズを上手く作り出せたのかと微かな不安がよぎる。
しかしなぜか、フリーザは隙だらけのメイズに攻撃することができなかった。
恐怖しているわけではない。ただ、メイズに攻撃することは許されないような空気感だった。
しかし、このまま静止しているだけではメイズに攻撃される可能性がある。
何を繰り出してくるのか分からず、フリーザは嫌な汗をかいた。