みんなと別れて、千秋と美奈子は最寄駅に向かった。
「地下鉄?」
千秋が尋ねると美奈子は頷く。
「俺、JRだから」
千秋と美奈子は見つめ合って笑った。
「今日は西川君に会えて良かった。成長にはびっくりしたけど」
「あはは。もうやめてよ、恥ずかしいから」
千秋は恥ずかしくって擽ったい。
美奈子に好印象だったのが嬉しかった。
「はいはい。また、みんなで会えると良いね」
「うん…………じゃあ。遅くなったら川瀬が困るしここで」
後ろ髪を引かれる思いで千秋は名残惜しい。
「…………おやすみなさい」
それを感じ取ったのか、美奈子も寂しそうな顔になる。
「おやすみ」
千秋が返すと、美奈子が地下鉄の入り口から階段を降りて行く。
その後ろ姿を千秋は見送っていた。
角を曲がり美奈子の姿が見えなくなった時、千秋は慌てて階段を駆け降りる。
「川瀬!」
階段を降り終えていた美奈子が振り返る。
「LIN、交換してくれないか?さっきの顔見たら心配になった!悩んでることとか、俺に話してくれて良いから!」
「…………千秋君」
美奈子に千秋君と呼ばれて、千秋はドクンと胸が高鳴る。
小学生だった千秋が初めて恋を知った相手。
初恋の相手が自分をその当時の呼び方で呼んでくれた。
「いつでも、LINしてくれて良いから」
スマホを取り出して千秋は言う。
美奈子もスマホを出した。
「じゃあ、また愚痴聞いてね」
美奈子は千秋に笑顔を向ける。
千秋も笑顔で頷く。
2人のLINが繋がった。
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