ある4月のことだった。麗らかな春の木漏れ日を受けながら放課後1人課題を進める。
この世界は平和である。
割と実力主義という点を除けば。
別に私はそれでいいと思っている。
「ゆーちゃん!!そろそろ行こ?」
そう声をかけていたのは幼なじみであるれーちゃんこと桐沢 麗が声をかけてくるのだった。
「そうね。今日は本部の集会だもんね」
本部というのは政府の特別部隊である。
実力主義ではあるが、ある程度の治安維持は必須である。
その中の一員である私達は今日呼ばれている。
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「ふむ、、、、よく来た君たち。」
「隊長!お仕事お疲れ様です」
「君たちに仲間が増えるから今日は来てもらった」
「だって!楽しみだね!ゆーちゃん!」
そうして扉が開かれる。
「初めまして。こんにちは。百咲 莉愛です。」
さぞかしそこにいるのが当たり前かのような佇まいでそこにいる。高々新入りの癖に。すごく癪に障る。
その時点で私は少しイラッときてしまった。
まぁそんなことを言ったってしょうがないのでニコニコ笑顔を貼り付けておく。
「じゃあ自己紹介しよっか!私は桐沢 麗よろしくね!」
あぁ、、、、
私が名乗るのもめんどくさいなぁ
と思いつつ自己紹介をする。
「黒雪 百合です。よろしくお願い致します。」
「ゆーちゃん敬語なの律儀だなぁ〜」
「百合さん全然敬語外してもらっても大丈夫ですよ!」
何を言ってるんだか。
私は嫌いだからこそ敬語を使っているのに
「ゆーちゃんは偉いもんね!」
その笑顔は、、、、
「それじゃ!私達はやる事あるからまたね!」
そう言ってれーちゃんに強く手を引かれる。
そのまま私は身を任せて連れられるのだった。
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「ゆーちゃん大丈夫?」
「さすがれーちゃんだね。ひと目で見抜くなんて」
「何年一緒にいると思ってるのよ!これぐらい余裕だってば!」
並木の下2人でそんな会話をする。
「なんならゆーちゃんがなんで嫌いなのかの理由も当ててあげる!」
「ずばり!! 態度が気に食わなかったから!」
「ふふっ。8割正解」
「えぇ〜2割は〜??」
「な〜いしょっ!」
「意地悪〜」
「てかさ〜」
「ゆーちゃん能力あるんだからそれで見ればいいじゃん。未来。」
能力、、、、ね
「確かに。」
「じゃ!ゆーちゃんのお家行こっ!」
「はいはい。忙しくて若干散らかってるけど許してね」
「それ絶対ゆーちゃんの家綺麗なヤツじゃん」
家のドアの鍵を閉める
能力を使うため。
私の能力はこの家系に代々受け継がれているものである。
久しぶりに使うなぁこの力
目の前の鏡と向き合う。
「鏡よ鏡」
鏡に反射している世界が歪む。
「数ヶ月後の世界を見せて」
次の瞬間
ぐわんっと引き込まれる感覚がする
見えるのは虚像の世界。
多分今見えているのはこれから起きることだと思う。
ただ未来だから虚像である。
「え〜やっぱり私上手いですよね〜」
そこには満面の笑みで煽りに近い皮肉を行ってくる、、、、
莉愛がいた。
「けど上層部が怒ってくるんですよ〜分かります〜?って百合ちゃんじゃわかんないか!」
見ているだけなのにカチンと来た。
これ以上見ても確実に気分が悪くなるだけ。
能力を解除する。
「ゆーちゃん、、?どう、、、、だった、、?」
「あ〜、、、、真面目に最悪だった。」
「けどそうは言ったって、、、、どうするの、、、、?」
「しょうがないから暫くは様子をみる。」
「ってあっ!もうこんな時間!?ゆーちゃん帰るね!」
「うん。またね!」
しばらくして外での罵りあいが聞こえる。
今のところで騒ぐなんて馬鹿じゃないの?
まだここ治安いいほうなのに。
さぁーて、、、、
お仕事開始しますか〜!
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さてと、、、、
と近づいたところですごく睨まれる
が
別に気にしない。
「嬢ちゃんはこんな所で何やってんだよォ?」
「さぁね。」
次の瞬間
腹部にナイフを入れる
「あっ!?がっ、、、、!」
「ふぅ、、、、」
さてと、、、、
始末しないとね
「百合さんお仕事お疲れ様です」
おっいいところに処理担当が!
「それじゃあよろしくお願いします」
「おつかれ〜」
この世界じゃ実力主義。
身分が高いほど罪を犯しても無罪になる。
私の場合は特別部隊だしそもそもの身分が高いため必ず無罪になる。
そもそも素で誰かを殺めたとしても有罪にはならない。
そう考えるとなかなかに都合のいい世界である。
世界は今日も平和だなぁ。
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私の家系である黒雪家は上級の家系である。
そこら辺の国のお偉いさんとは格が違う。
そもそも黒雪家が上級家系である由縁。
能力である。
この国。
いやこの世界で唯一黒雪家の長女だけが持つことが許される能力 鏡写
鏡を通して未来・過去を除くことができる。
さすがに受け継がれている鏡に限った話ではあるが。
そうだな、、、、
いうならば白雪姫の継母と言ったところだろうか?
それしてその真相を大きく知るのが桐沢家。
鏡の真相を知るのはこのふたつの家系だけである。
いわば、、、、
私と麗が絶対の存在なのだ。
そんな世界、、、、
失敗するはずがない。
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夜。
鏡の前に座る
ふと窓から風が入ってきて桜の花びらが目の前の机へと舞い降りる。
「ほんとに貴方は莉愛みたいね」
そう言って私は窓から外へと捨てる。
能力を使う。
明日を見るため
「鏡よ鏡____」
【代償】
明確には存在しない
ただ正気度のようなものは減っていく。
そりゃそうだ
見たくないものを見る可能性だってある。
ただ正気度を失うだけなら別に構わないまだメリットの方が大きい
ただこの時の私には知る由もなかった。
人間として欠如しては行けないものが欠如することになるなんて______
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