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あべラウ
ラウside
夜。
ベッドに入ってからも、阿部ちゃんはスマホを触っていた。
「阿部ちゃん」
ab「んー?」
「まだ見てるの?」
ab「うん。ちょっとだけ」
「……こっち見て」
ab「今?」
「今」
阿部ちゃんが渋々顔を上げる。
ab「何?」
「それ、置いて」
ab「まだ途中なんだけど」
「置いて」
少し低い声で言うと、阿部ちゃんが一瞬黙った。
それから、おとなしくスマホを枕元に置く。
ab「……はい」
「よくできました」
ab「子どもじゃないんだけど」
「じゃあ、大人らしく僕の言うこと聞いて?」
ab「それ、絶対なんか企んでるでしょ」
「さあ?」
僕は笑って、阿部ちゃんの手を取る。
「もう一回、こっち見て」
ab「……見てるよ」
「ちゃんと」
ab「これ以上どうするの」
「目、逸らさない」
阿部ちゃんが僕を見る。
でも、数秒もしないうちに恥ずかしそうに視線を落とした。
「はい、アウト」
ab「何が?」
「今、逃げた」
ab「だって……」
「だって?」
ab「ラウールがじっと見るから」
「僕が見てるの、嫌?」
ab「……嫌じゃないけど」
「じゃあ、逃げない」
そう言って、指を絡める。
阿部ちゃんが少し緊張したように瞬きをする。
「ねえ、阿部ちゃん」
ab「なに?」
「僕が、こっち来てって言ったら、来て」
ab「……うん」
「目、閉じてって言ったら?」
ab「……何するの?」
「質問しない」
ab「ずるい」
「いいから」
阿部ちゃんは少し迷ってから、目を閉じた。
僕はその表情を見て、思わず笑う。
「素直じゃん」
ab「……からかわないでよ」
「からかってるよ」
頬に軽くキスを落とす。
阿部ちゃんが驚いて目を開けた。
ab「……ラウール」
「なに?」
ab「今の、反則」
「じゃあもう一回?」
ab「それは……」
「嫌?」
ab「……嫌じゃない」
「じゃあ決まり」
もう一度、今度は額に軽くキスをする。
「阿部ちゃんって、本当に分かりやすいね」
ab「何が?」
「僕がちょっと強く言うと、ちゃんと言うこと聞くところ」
ab「……ラウールが意地悪だからでしょ」
「うん、知ってる」
僕は笑って、阿部ちゃんの手を握り直す。
「でも、僕の前ではそれでいいよ」
ab「……何それ」
「僕がちゃんと甘やかすから」
そう言うと、阿部ちゃんは少しだけ照れた顔で笑った。
その顔を見て、僕は満足する。
「じゃあ最後に一つ」
ab「まだあるの?」
「あるよ」
ab「何?」
「今日は僕のほう向いて寝て」
ab「……命令?」
「うん」
ab「ほんと、Sだなあ」
「今さら?」
阿部ちゃんが呆れながらも僕のほうを向く。
ab「……これでいい?」
「うん、偉い」
ab「また子ども扱いした」
「だって可愛いから」
そう言って笑うと、阿部ちゃんは布団に顔を半分隠した。
やっぱり、こういう反応を見ると、もう少しだけ意地悪したくなる。
「ねえ、阿部ちゃん」
ab「……なに?」
「こっち向いてって言ったけど」
ab「うん」
「目は合わせてくれないの?」
ab「……だって恥ずかしいから」
「ふーん」
僕は少しだけ身体を起こして、阿部ちゃんの顔を覗き込む。
「じゃあ、僕が近づいたら?」
ab「……ラウール?」
「逃げる?」
ab「逃げないけど……」
「じゃあ、いいよね」
ab「何が?」
僕は答えずに、阿部ちゃんの頬にそっと手を添える。
阿部ちゃんは、少し驚いたように僕を見る。
「目、閉じて」
ab「また?」
「うん、また」
ab「今度は何するの?」
「さあ?」
ab「絶対意地悪するじゃん」
「嫌ならやめるけど」
そう言うと、阿部ちゃんは少し迷ってから、小さく首を横に振った。
ab「……嫌じゃない」
「じゃあ、閉じて」
阿部ちゃんがゆっくり目を閉じる。
その表情を見ていると、からかうよりも大切にしたい気持ちのほうが強くなる。
僕は頬に触れていた手をそのままにして、そっと唇を重ねた。
ほんの一瞬。
それだけなのに、離れた途端、阿部ちゃんの顔が一気に赤くなる。
ab「……ラウール」
「なに?」
ab「今の……」
「キス」
ab「それは分かるよ」
「じゃあ、何?」
ab「……急すぎる」
「でも、ちゃんと待ったよ?」
ab「何を?」
「阿部ちゃんが嫌じゃないって言うの」
そう言うと、阿部ちゃんは何も言えなくなる。
僕は笑って、もう一度頬を撫でた。
「可愛い」
ab「……もう、それ禁止」
「なんで?」
ab「恥ずかしいから」
「じゃあ、言わない」
ab「ほんと?」
「うん」
少し間を置いてから、僕は笑う。
「……大好き、ならいい?」
ab「それも恥ずかしい!」
「ふふ」
阿部ちゃんが布団を少しだけ引き上げて、顔を隠そうとする。
「逃げないで」
ab「逃げてない」
「顔見せて」
ab「嫌」
「阿部ちゃん」
ab「……なに」
「僕のほう向いて寝るって約束したでしょ?」
ab「……した」
「じゃあ、こっち」
僕が布団を少し下げると、阿部ちゃんが渋々顔を出す。
「はい」
「よくできました」
ab「また言った」
「じゃあ……」
僕は少し考えるふりをする。
「ご褒美、いる?」
ab「……何それ」
「頑張ったから」
ab「いらない」
「本当に?」
ab「……」
「欲しい顔してる」
ab「してない」
「じゃあ、あげない」
ab「……ラウール」
小さな声で名前を呼ばれて、思わず笑ってしまう。
「やっぱり欲しいんじゃん」
ab「もう……」
僕は阿部ちゃんの手を握り直す。
そして、今度は確認するようにゆっくり顔を近づけた。
阿部ちゃんが目を閉じる。
唇が触れる。
さっきより少しだけ長く。
何回も、何回も。
あべちゃんが、多少苦しくなる程度に。
でも、離れるときは名残惜しくならないくらい優しく。
ab「っふ….、んっ、はぁ」
「……これで満足?」
阿部ちゃんはしばらく黙っていたけど、やがて小さく頷いた。
ab「……うん」
「そっか」
ab「でも」
「ん?」
ab「ラウール、絶対明日もこうやってからかうでしょ」
「もちろん」
ab「やっぱり……」
阿部ちゃんが呆れたように笑う。
僕も笑いながら、繋いだ手をぎゅっと握った。
「だって、阿部ちゃんが可愛い反応するから」
ab「……知らない」
「じゃあ、明日もいっぱい見せてね」
ab「約束しない」
「じゃあ僕が勝手に見つける」
ab「ほんと意地悪」
そう言いながら、阿部ちゃんは僕の手を離さなかった。
それが嬉しくて、僕は最後にもう一度だけ、阿部ちゃんの額にキスをする。
「おやすみ、阿部ちゃん」
ab「……おやすみ、ラウール」
暗くなった部屋の中。
繋いだ手の温度だけが、ずっと残っていた。
明日もきっと、僕は阿部ちゃんをからかう。
でも――。
そのたびに、今日みたいに僕の隣で笑っていてくれたら、それでいい。
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🖤💚お願いします🙇 待ってます。
次はめめあべ!!多分今日中に投稿します
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