辰美sid
「 …… 」
静まり返るベンチの周り。
何か後輩に声掛けできたなら…なにか気の利いた言葉を…
いつも漱がしてるみたいな…
「 皆、落ち込み過ぎとちゃうん?もしこの試合で負けたら俺たちはもうインターハイに出られへん。
やけどこの試合で負けたら俺らは殺されるんとちゃうし。飛んでくるんはただのボールでナイフやない。
自分のしたいって思う事、したらええんとちゃうの? 」
淡々と告げたのは木萩君だった。
「 …木萩君… 」
「 木萩さん… 」
「 ははっ、そーだね。俺たちは自由自在に変化しなくっちゃな。広がってく雀鉢にのまれない様にな。 」
にかっと笑って三守さんも言う。
すると自然と肩の力が抜けた。
いつもの皆に戻ってきた。
「 ふふ、もう僕はなにも言わなくてもいいね…勝つことにこだわり過ぎないで。
皆の楽しいバレーボールを見せてやろうじゃん!! 」
龍樹さんはぐっとガッツポーズをして言った。
「 そうですね…お前ら…!!変化していこうな…!! 」
「 ウッス…!! 」
「 はい!! 」
「 はい。 」
そして三セット目が始まる。