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口づけて、唇の端から舌先を割り込ませた──押し留めることもなく絡み付いてくる舌に、落ちたと確信をした。
だが、ようやく手に入れたはずの彼女は、相変わらず私を見ることはなく、終始目を逸らし、行為に耽るようなこともなかった。
ただ、不本意に責められてその気にさせられているだけだという表情を頑なに崩さずに、こちらをじっと睨むような眼差しを向け続けた……。
いたたまれなくなるような視線に耐えかねて、
「……君は、私に、何を見ているのです?」
と、尋ねた。
「……悪魔……」
返ったその一言に、堪えようのない憤りが胸を湧き上がった。
「なぜ、私が悪魔だと言うのです……。私が本当に悪魔なら、あなたはどうするんですか……」
もはや制御のできない感情を持て余し、隠し通せなくなった怒りをぶつけた。
「あなたが私をそう見ているのなら、望み通りに振る舞ってあげましょうか?」
両肩を強い力で鷲掴んで、身動きが取れないよう押さえ込んだ。
「……人を悪魔のようだとは……そんなことが、よくも……」
抑え切れない感情が溢れ出して、思わず肌にギリッと爪を突き立てた。
「痛っ……」
痛みに顔を歪める表情が、憎らしくも映る。
「……痛みくらい、我慢しなさい……」
君は、その言葉の刃で、私を深く傷つけたのだからと……。
「わからせてあげますから……私があなたの言うようであるなら、
どうあなたを魅了し、どうやって落とすのか……誘惑に堕ちればいいんです……」
我を忘れて感情的になっていることにも気づかぬまま、本物の悪魔さながらの冷酷さで言い放っていた──。