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先生の、いつも私より冷たい唇は
やっぱり、そのまま静かに離れた。
掴まれていた手首も、離された。
「⋯さすがにマズイな」
『⋯何が、?』
先生が、軽く笑った。
「ここは近所の目があるの忘れてたわ」
私に寄せてた身体を運転席に戻そうとした先生の腕をギュッと掴む。
「ん?」
『⋯』
「どーしたよ。」
掴んだその手を、勢いよく離すと、彼はバランスを崩したのか覆い被さるように
「あっぶねー、何…どーしたのよ」
私と先生の距離はさっきと同じぐらいの距離になった。
「〇〇?」
『先生の…バカ…』
「え?」
私は、初めて自分からキスをした。
唇が触れたこの瞬間、恥ずかしくてギュッと目を瞑る。
結局、自分からしてしまったことにドキドキして
先生の胸を押して、離れた。
『⋯』
「オレ、今日来た意味あったわ」
『⋯』
「なぁ、あんまり触れないで」
ソコ、って私の手が触れている胸を指さすと
「心臓、ヤバいのよ」
そー言って、彼は困ったように笑った。
手には、先生の心臓がドクドクと打つのが伝わってくる。
『ドキドキ⋯してる⋯』
「だから、触んなって!恥ずいわ」
『わたしで、ドキドキしますか?』
「するから付き合ってんの」
ギュウーーーって抱きしめられて
ぐぅーーーって苦しくて。
「あ、もう時間だわ」
『えっ、もう⋯?』
車の時計を見ると、24時を過ぎていた。
「〇〇?」
『⋯はい?』
「次会う時は、桜見ような」
『うんっ!』
私の身体に巻きついていた先生の手は、スルッと離れていった。
「桜が待ってるから、それまで頑張れよ」
「俺も頑張るからさ」
『楽しみにしてます』
車をおりる前に、そっと振り返る。
『ねぇ、翔太くん』
「ん?」
『今日は、私のワガママ聞いてくれてありがとう』
そう言うと、先生は口角を上げた。
「オンナの子はたくさんいって良いの」
「それが仕事でしょ」
まるで、当然のような口振り 。
胸がいっぱいに、なる
『⋯じゃあ、たくさん仕事します』
そういうと、先生は頭を撫でてくれた。
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コメント
4件
もう、キュン死してしまいそ(⸝⸝› з ‹⸝⸝)♡