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先生に言われた通り、桜を励みに毎日頑張った。
風邪で、出勤できなかったバイトさんの代わりに残業もしたし、花粉症で鼻をズルズルしながら店外の掃除もやってた。
帰り道、桜の前を通る時にはどれくらい咲いたかな?って桜を確認。
日に日に、ピンク色が増えてきた
そんな桜の様子を毎日先生に送る。
で、「オレも毎日みてるんだけど 笑」って学校の桜の写真を送ってくれる。
何度も見ていた、正門の前にある桜の木。
それを、先生が見上げて写真をとってる姿を想像するだけで胸が痛む。
『どこで見ますか?』
って聞いたら
「まあ 任せて」
って返ってくる。
それだけで、仕事を頑張れちゃう
・
桜が、満開になる前の季節
早上がりだった土日に先生が迎えに来てくれた
いつも通り、先生は車を桜坂公園に停めて待っていた。
『すごい咲いてますよね』
毎日、私が見ていたサクラ。
毎日見ていたのに、先生と見ると全然違うと思ってしまうのは気のせいなのか。
「でもここは毎日みてんでしょ」
『じゃあ、どこに行くんですか』
夕方、少しずつだけど陽が沈む。
「ま、すぐ分かるよ」
って助手席に放り込んできた。
どこに行くの…って窓の外を眺めると、街のあちこちに桜色がある
運転してる先生は、小さく流れる音楽に口ずさんで、ハンドルをトントンと叩く。
この姿、何時間だって見れる。
走っていると、私が何年か前に毎日見ていた懐かしい景色。
先生も、何年か前に見ていた景色
『ねぇ、先生。もしかして⋯』
「あ、わかった?」
窓を開けると、ふわりと桜の匂いがする。
「そこに車停めるか。」
コインパーキングに車を停めた先生は「懐かしいわー」って私の手を繋いだ。
「〇〇も懐かしいって思う?」
『⋯うん、思う。』
「ふふっ、まだ卒業してちょっとだろ?」
『だって、卒業してからまだ来てなかったもん』
少し歩いて、辿り着いたのは私と先生が通っていた大学のキャンパス。
数年の差があったとはいえ、高校以外で2人がみていた景色は同じ。
そう言えば、通い始めた頃はこの大学に通い始めたのは間違ってた…って思ってたんだよね。