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紫陽花
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『…アデレード、ごめん……。君が可愛すぎて……もう、抑えられそうにないんだ』
耳元で低く響く、掠れた甘い声が蘇る。
そこにいないはずなのに、あの射抜くような視線が暗闇の中から私を凝視しているような錯覚に陥る。
「あぁ…イグニス……」
名前を呼ぶだけで、下腹部がキュンと疼く。
もう片方の手が、落ち着かずに胸をまさぐり始めた。
薄い生地に包まれた膨らみを強めに揉みしだくと、中心の突起が情けないほど存在を主張してくる。
(違う、こんなの……私がしたくてしているわけじゃなくて……体が勝手に……彼を求めて……!)
誰に宛てたものかも分からない言い訳を胸中で繰り返しながら、私はパジャマのボタンを震える手で外した。
露わになった白い肌に冷たい空気が触れる。
けれど、イグニスがいつも舌で執拗になぞってくれるあの形を辿るように、私は自分の指を這わせた。
熱いものがジワリと滲み出て、指先を湿らせていくのを感じたとき──
『声も、跳ねる体も、泣き顔も……。すべてが俺を狂わせる。可愛すぎてどうにかなりそうだ……』
彼が情事の終わりに、独占欲を隠そうともせずに吐き捨てる言葉が、脳内で何度も反響した。
「っ……!」
その瞬間
背筋に電流が走ったような鮮烈な快感が弾け、私はシーツを掴んで大きくのけ反った。
ビクン、と小さく体が跳ね、つま先までが硬直する。
荒い息を整えながら、自分が何をしていたのかを客観的に認識すると
途方もない羞恥と罪悪感が津波のように押し寄せてきた。
(私ったら…なんて破廉恥なことを……っ)
だけど、まだ足りない。
皮膚の表面が熱くなっただけで、胸の奥にある空虚感は、むしろ深まったようにすら感じる。
「…イグニス……すき…すき、っ……愛してる……っ」
一度目の熱が引く前に、今度はもっと深い
本当は彼だけにしか許していない場所へと、震える指を滑り込ませた。
しっとりと濡れそぼった感触に自分自身で驚愕しつつも、もう本能が止まれない。
彼が私を貫くときの、あの内側から作り変えられるような圧倒的な熱さを想像しながら。
浅い部分を擦り上げれば、すぐにまた次の波が押し寄せてくる。
「んぅ……あっ……もっと……イグニス……奥まで、来て……っ」
普段なら彼の低い声に導かれ、弄ばれる場所を、必死に自分自身で探る。足りない。
全然足りない。
彼の逞しい指じゃないと。
彼の、私を狂わせるあのモノでないと、私は満たされない。
それでも体は貪欲に、彼という存在の身代わりを求めて、指の動きを急がせる。