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「んー・・・・・あれ?」
ベッドが揺れ目が覚めた千春は見覚えのない景色で混乱していた。
「おはようチハル、起こしちゃったわね。」
そう言いマルグリッド王妃はチハルに近寄り頭を撫でる。
「おか・・・メグ様おはようございます。」
「ん?おか・・何?もう一回いってごらんなさい?」
ちょっと目を見開いたがすぐに笑顔で千春にもう一度と言う。
「い・・・いえ!なんでもありませんメグ様おはようございます!」
顔を真っ赤にし王妃に見えないように顔を隠しながら挨拶をする。
「そう?寝言の時みたいにお母様って言ってくれたらよかったのに残念だわぁ。」
「っっっっっ!!!」
「ごめんなさいね、可愛くてつい揶揄ってしまったわ、いい夢が見れたみたいね。」
王妃は軽く千春を抱きしめ頭を撫でる。
「はい、おかぁさんと久しぶりに会えました、メグ様のおかげです、有難う御座います。」
「あらあら、それじゃまた一緒に寝ないといけないわね、私はいつでも良いわよ。」
そう微笑みながら答えてくれる王妃に千春は照れながら頷く。
「食事にはまだ早いわね。」
寝室から出るとエリーナが他の侍女と王妃の服を準備していた。
「王妃殿下おはよう御座います、本日は・・・・。」
エリーナは今日の予定と、会う人を伝えながら話をしていた。
「チハル様お召し物はこちらで宜しいでしょうか?」
昨日着ていた服が綺麗に掛けられていた、「はい!」と言うとすぐにそれを受け取りどこで着替えようかとキョロキョロと見回す。
「あら、この部屋を覗くような不届き者は居ないわよ、その姿見の所で着替なさい。」
王妃はそう言いながら侍女がレースついたナイトガウンを脱がせ着替えを始めた、早々に着替えを終わらせパジャマをリュックに入れた千春は。
「メグ様、一度あちらへ戻って用事を済ませたらまた来ますので、練習の方は何時ごろお伺いしたらよろしいですか?」
「あら、朝食は一緒に取らないの?」
「はい、用事のついでに向こうで済ませてきますので。」
「わかったわ、チハルはゆっくり用事を終わらせてきなさいな、正午の鐘までには私も用事を済ませておくわ、昼食は一緒に取りましょう、それから魔法の特訓ね。」
そう言いながら王妃はクスクス笑う。
「いえ・・・練習です。」
千春も苦笑いで返す。
「では後ほど、失礼いたします。」
千春はそのまま戻ろうとしたが、まだ王城が良く分かっていない事を思い出した、そして申し訳なさそうに一人の侍女を捕まえ「魔導士団の棟はどうやって行くのか」と聞き急いで家に帰った。
「はぁぁぁ!ただいまっとー!」
部屋に戻った千春はすぐさま携帯をチェック、LIMEにヨリからの履歴が有りチェックすると昨日電話があった内容の画像が貼ってあった。
「うん、可愛い柄のマフラーだね、ヨリのセンスはやっぱりいいなぁ。」
そう言いながら頼子に返信し洗濯物をぶち込み時間を見る。
「あ・・・まだ7時にもなってないのか、めっちゃ早起きしちゃったなー。」
すると、開けっ放しにしていた扉の先にサフィーナが現れた。
「おはようチハル、良く寝れましたか?」
「めっちゃ爆睡しちゃったよ、しかも寝言まで王妃様に聞かれちゃって・・・めっちゃ恥ずかしい!」
「本当に一緒に寝たのね、私なら一睡も出来ないと思うわ。」
「うん、ちょっと疲れてたっぽい。」
千春は扉を抜けサフィーナの所へ行く、サフィーナはお茶の準備をしながら「飲むでしょ?」と、いつもの魔法でお湯を沸かしていた。
「サフィーは朝ごはんとかは?」
「さっき軽く食べましたよ、ココの使用人は朝は軽く食べて昼食前にお昼を頂くの。」
「へぇーブランチってやつかな?」
「チハルはいまから朝食かしら?また何か作るの?食堂で食べるの?」
「んーちょっとまだお腹空いてないと言うか・・・早すぎるんだよねー、まぁ何か作っても良いけど。」
作ると聞いてサフィーの目がキラリと光る。
「へぇ、何作るの?」
「え・・え?いや、まだ何も考えてない・・・・何か食べたいの?」
「そう言う訳じゃないけど、チハルの料理はどれも美味しいから、ね?気になっただけよ?」
「ふーん、んじゃご飯と味噌汁と納豆と言う、ザ!日本の朝食!を食べさせてあげようか?」
「ご飯って?パンじゃないのよね?」
「うん、米を炊いた物、もしかして米って無いのかな?」
「あるわよ?食べれるのも知ってるけど基本家畜の餌だけど。」
「家畜・・・私の国のソウルフードだよ。」
「へぇ、臭くてモサモサして美味しくないって聞いたこと有るけど食べたことは無いわねぇ。」
そう言いながらサフィーは眉をへの字にして食べたくは無さそうにしていた。
「で、ミソシルって言うのは?」
「味噌っていう調味料を使ったスープ。」
「ミソって?」
「大豆を発酵させた・・・発酵調味料。」
「・・・・・・ナットウは?」
「・・・・・・大豆を発酵させた物。」
「発酵ってたしかパンに使う酵母も発酵っていう良い菌が腐らせるやつだよね。」
「うん、よく覚えてたね。」
「チハルの国ってどんだけ物を腐らせて食べてるの?腐らせすぎじゃない?」
「発酵食品は体にいいんだよ!ホントだよ!」
「家畜の餌と腐らせた食べ物とか普通に聞いたらチハルの国危ない所かと思うね。」
「ひどいな!www」
2人は笑いながらお茶を飲みつつ日本の食事がどうのと話を続けていた。
「サフィーは朝ごはん作ったら食べれる?」
「ええ、食べれますけど先程言ってた料理はちょっと遠慮したいかな?」
「えー・・・まぁそのうちそれは食べてもらうとしてー。」
「えぇぇ・・・食べさせられるのね。」
「ちょっとコンビニでなんか買ってくるかな、お湯は沸騰させれる?」
「ええ、出来ますけど、何作るのかしら?」
「出来てのおたのしみっ!ちょっと行ってくるね!」
そう言いながら千春は扉をぬけ財布と携帯を握り走れば2分で着くコンビニへBダッシュした。
「ふぃぃ、んじゃ何かってこかねー。」
そう言いながらパンコーナーで総菜パンをいくつか手に取りスープコーナーへ。
「味噌汁は家で作ったほうがいいし、コーンスープでいっか、あ、オニオンスープも買って行こ。」
そしてレジ横のハッシュポテトを注文しレジへ、そしてすぐに家に戻る。
「たっだいまー!」
「おかえりチハルー。」
扉の向こうから声が聞こえる。
マグカップを二つ取り出しスプーンとスープの素をサフィーナに渡す、そして小さい鍋も持って行く。
「サフィー、これに袋の中身を入れるからゆっくりかき混ぜながら溶かしてもらっていい?、一度に入れるとダマになるから少し入れて溶かしながら回して混ぜてね、あとこの鍋に玉子が沈むくらいお湯入れてもらっていいかな?」
「はい、わかりました。」
マグカップにスープの素を入れ部屋に戻る、そして小さな鍋をコンロに掛け沸騰させる、すぐに沸騰したお湯に玉子をそーっと入れる。
「ん-で、6分タイマーかけてっと、あとは明太子パンとソーセージパンをトースターに掛けてアツアツにー、ハッシュポテトは4分割で小皿に~♪」
焼けたパンを幾つかに切り分けフードピックを刺しちょっとかわいく盛り付ける。
「スープ出来ましたよー。」
サフィーナから声がかかる。
「はーい、りょうかーい。」
そしてサフィーナの所へ持って行きテーブルに並べる。
「さ~て、もう少ししたら茹で卵出来るから先に食べてよう。」
「美味しそうねー、コレも柔らかいパンなのね。」
「うん、そう言えば昨日王宮の料理長にイースト渡したけど使えたかなぁ。」
「大丈夫よ、昨日試食して大盛況で今日の朝王族の食事用に作ってたから、試食用一個もらっちゃったもん。」
「おー流石だね、一回で覚えたかー。」
「チハルの教え方が良かったからよ、時間配分もちゃんとメモしてたから同じ量で作ってたみたいよ?」
「それじゃ結構早起きしたんじゃない?」
「いつもとあまり変わらない感じだったけど、それが仕事だし良いんじゃないかしら?」
「そっか、それじゃサフィーはあのパン食べれたのね。」
「そ、チハルの付き人特権よ。」
ニッコリと笑いながらサフィーナは言うが、少し悪い顔をしていたように見える、千春は多分気のせいだと思う事にした。
「チハル!この揚げ物美味しいわ!パンも美味しい!」
「ハッシュポテトねー、美味しいよねー、あーコーンポタージュがうんまぁ。」
「美味しいわねこのスープ、コーンって事はこっちでも作れるのかしら?」
「コーンがあったら作れるよ、厨房にあるの?」
「有るわよ、旬はもう少し先だけどもう出回ってるから。」
「そか、んじゃコーンスープとこっちのオニオンスープも作り方教えてみよーかー。」
「ほんとに!?あーコレが毎日飲めるなら毎日食堂に行くわ!」
サフィーナはコーンポタージュスープが気に入ったようだ。
「この超半熟卵はどう?」
出来上がった茹で卵の殻を上半分剥きスプーンで掬いながら食べる。
「美味しいわ、こんなに黄身が生の茹で卵なんて初めて食べたけど濃厚なのね、お腹壊さないわよね?」
「大丈夫、まるっと生のまま食べてもあっちの玉子はお腹壊さないから。」
「えぇぇ、こっちだと浄化かけないと怖くて食べれないわよ。」
「ん?んじゃぁ浄化かけたら食べれるの?」
「食べれるって聞いたわよ?でもわざわざ教会に玉子浄化して下さいって言う人いると思う?」
「・・・・いたら追い返されそうだね。」
「ね、そう言う事よ?」
そして、2人は食べ終わったら厨房へ行き何の料理を教えるかレシピを考えながら朝食をとるのであった。