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◇ボーイズオーディション
……を村岡彩夢44才は、おにぎり🍙せんべい片手に
欠片をほおばりながらTVの中で繰り広げられるBoys Auditionを見ていた。
最初、トップで名前を呼ばれていても最後の最後で落とされたりと目まぐるしく
展開するシーンに目が離せない。
一度目で最初に名を呼ばれた星博貴こと星ちゃんは
その後二度三度呼ばれる度に 自慢げな誇らしげな表情をしていた。
『小さな頃からダンスを習っているっていうし、きっと星ちゃんは受かるのだろう』と、
彩夢は思った。
そのように何の疑いもなく、彩夢は時には見逃しつつも、
なるべくTVの中の彼らを追い続けた。
途中見逃した回で何が起きていたのか? あんなにダンスの上手かった
星ちゃんは、最終ステージに入るその前あたりで合格者から
外されていた。
『なんでよぉ~』
と彩夢は叫んだ。
ボーイズオーディションの主催者☘夏目蒼一郎40才もその昔パフォーマーとして歌い手として
グループで活躍していた人物なので、もちろん踊れる人だ。
どうも、その彼に似せているダンスがNGということらしかった。
何と言っても彩夢にとって痛いのは、そのややこしい問題発言が繰り広げられていた
であろう回を見逃したことだ。
ただ、後々素人の彩夢が思ったこと。
『なんで、そんな小難しいこと言うんだぁ~。
自分の踊りに似てようが似てまいが上手けりゃあいいじゃないの』
だった。
『小難しいこと言うんじゃないわよ』
彩夢はオーディションだから不合格者が出るのはしょうがないということは
分かっている。
……が、最初にトップで合格させていた人物を
踊りが下手でもなく特別歌唱に問題もなく
中途半端な回で落としたことに憤りを隠せなかったのである。
彩夢は人の心情を分析するのが好きだ。
そこで彩夢は……
きっと何かしら、夏目の悪い意味での琴線に触れる何かが星の
中に見えてしまったのかもしれないと推測した。
それは……
『一体何なのだったのだろう?』
モヤモヤを残したま、オーディションは続くのだった。
AI有償イラスト OBAKERON様より







