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はい!これが、てらるれしんれんさいのひとつです!
あ、ぱくりとかじゃないよ?(もそかしたら、にてるさくひんあるかもだからいちおう)
すたーと!!
朝。
カーテンのすき間から、光が差し込んでいた。
「……ん」
いるまは、目を覚ました。
まだ少し眠い。
枕に顔を押しつけたまま、スマホを手探りで探す。
7:02
「……やば」
いつもより少し遅い。
起き上がって、天井を見た。
静かな朝だった。
でも、
スマホの通知欄に、ひとつだけ新しい通知があった。
らん:『おはよ』
それだけ。
毎日の、当たり前のメッセージ。
いるまは、小さく笑った。
いるま:『おはよ』
送信。
すぐに既読がつく。
でも、返事は来なかった。
(……まあ、いっか)
らんは、こういうことよくある。
送っといて満足するタイプ。
ベッドから降りて、制服に着替える。
鏡を見る。
いつも通りの自分。
変わったことなんて、なにもない。
——このときは、まだ。
家を出ると、少し冷たい空気だった。
「さむ……」
手をポケットに入れて歩く。
通学路。
いつもの道。
いつもの朝。
そして、
「……いるま」
後ろから、声。
振り返る。
「らん」
そこに、らんがいた。
眠そうな顔。
少し乱れた髪。
いつも通りの、らん。
「おはよ」
らんが言う。
「……おはよ」
いるまも返す。
それだけなのに、
なぜか少し、安心した。
「今日さ」
らんが歩きながら言った。
「数学ある」
「……まじか」
「まじ」
「終わった」
らんが小さく笑う。
「寝るなよ?」
「無理」
「即答かよ」
他愛のない会話。
毎日のこと。
ずっと続くと思っていた。
学校に着くと、
「おはよー」
こさめが手を振ってきた。
「おはよ」
「おは」
すちも、なつも、みこともいる。
いつものメンバー。
いつもの教室。
らんは、自分の席に座った。
窓側。
後ろから二番目。
いるまは、そのひとつ前。
振り返れば、すぐ話せる距離。
「ねむ」
らんが机に突っ伏す。
「ほらな」
いるまは笑った。
「だから言ったのに」
「無理なもんは無理」
顔を伏せたまま答える。
その声は、
少しだけ、遠く聞こえた。
「……らん?」
「んー?」
返事は、いつも通りだった。
でも、
そのとき。
ほんの一瞬だけ。
いるまは思った。
(……なんか)
なにかが。
少しだけ、
違う気がした。
理由は、わからなかった。
ただの気のせいだと、
思っていた。
その日が、
最後になるなんて。
まだ、誰も知らなかった。
キーンコーンカーンコーン——
放課後のチャイムが鳴った。
「終わった……」
らんが顔を上げる。
結局、数学はほとんど寝ていた。
「起きてた時間のほうが短かっただろ」
いるまが言うと、
「ばれてた?」
らんは笑った。
「ばれてる」
「まじか」
いつも通りの会話。
周りでは、みんな帰る準備をしている。
「いるまー」
こさめが近づいてきた。
「今日どうする?」
「どうするって?」
「帰るか、寄るか」
「あー……」
そのとき、
「帰る」
らんが言った。
少しだけ、早く。
「え、らん寄らないの?」
なつが聞く。
「うん」
らんは、カバンを持った。
「今日はいいや」
「めずらし」
すちが言う。
「まあ、そういう日もある」
らんは、そう答えた。
でも、
いるまは、少しだけ気になった。
(……そういう日、あったっけ)
らんは、
どちらかというと、
みんなといるほうを選ぶタイプだったから。
「……いるま」
「ん?」
「帰ろ」
らんが言う。
「あ、うん」
いるまも立ち上がる。
「じゃあなー」
「また明日!」
みことが手を振る。
いつも通り。
本当に、いつも通り。
廊下を並んで歩く。
夕方の光が、床に伸びていた。
「今日さ」
らんが言う。
「静かだよね」
「え?」
「なんか」
らんは窓の外を見た。
「静か」
いるまも外を見る。
グラウンドでは、部活をしている。
声も聞こえる。
風も吹いている。
「……そう?」
「うん」
らんは、小さくうなずいた。
「静か」
その横顔は、
少しだけ、
さみしそうに見えた。
校門を出たあと、
「そうだ」
らんが立ち止まった。
「写真撮ろ」
「急に?」
「いいから」
らんはスマホを出した。
「ほら」
画面を向けてくる。
「……なんで」
「なんとなく」
らんは笑った。
「なんとなく、残しときたい」
その言葉に、
少しだけ、
胸がざわついた。
「……変なの」
「いいじゃん」
二人で並ぶ。
カシャ。
シャッター音。
「撮れた」
らんが画面を見る。
そして、
一瞬だけ、
らんの表情が止まった。
「……?」
「どうした?」
いるまが聞くと、
「……いや」
らんは笑った。
「なんでもない」
そう言って、
スマホをしまった。
でも、
その笑顔は、
少しだけ、
無理をしているように見えた。
「じゃあ」
分かれ道。
「また明日」
らんが言う。
「……うん」
いるまはうなずく。
らんが歩いていく。
夕焼けの中へ。
その背中が、
なぜか、
少し遠く見えた。
その夜。
いるまは、
ふと思い出した。
(写真……)
スマホを開く。
らんとの写真。
今日撮ったばかりの写真。
そこには、
ちゃんと二人が写っていた。
でも。
「……え?」
いるまは、
画面を見つめた。
らんの姿が、
少しだけ、
ぼやけていた。
まるで——
消えかけているみたいに。
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