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さらに数日後。及川がわざと元に戻る。
女子に近い。
距離、甘い。
笑顔、過剰。
ざわつく周囲。
岩泉の拳が震える。
放課後、屋上。
壁に押しつける。
「何の真似だ」
及川、笑う。
でも目は暗い。
「岩ちゃんが嫌う“元の俺”」
わざと距離を縮める。
「これでも好きでいられる?」
挑発。
「どうせ疑うなら、ほんとに軽い男でいよっか」
胸が冷える。
「俺、ちゃんと努力しても意味ないならさ」
笑顔が痛い。
「最初から悪者のほうが楽」
岩泉が言葉失う。
「止めてくれないの?」
小さく聞く。
「それとも本当に、俺どうでもいい?」
の中で、何かが切れる。
「……そんなの続けるなら」
低い声。
空気が凍る。
「俺がお前選んだ意味、なかったな」
及川の笑顔が止まる。
一瞬。
ほんの一瞬。
「……は?」
俺は目を逸らさない。
「元の軽いお前に戻るなら」
拳が震えてる。
「俺、いらねぇだろ」
及川の喉が動く。
「なら」
言葉が、落ちる。
「別れるか」
風の音だけ。
及川の目が大きく開く。
「……なに言ってんの」
笑おうとする。
でも笑えない。
「岩ちゃん、今の本気?」
沈黙。
それが答えみたいになる。
及川の指が俺の制服を掴む。
ぎゅっと。
「やだ」
即答。
声、震えてる。
「無理」
岩泉、眉を寄せる。
「お前がそういうなら」
「無理って言ってんだよ」
初めて、声が荒れる。
目、赤い。
「俺が悪いなら直す!」
必死。
「戻るとか言わない試しただけ」
息が乱れる。
「だって怖かったんだよ!」
初めて本音。
「何やっても疑われるなら、いっそ嫌われたほうが楽かなって」
涙がにじむ。
「でも岩ちゃんいなくなるほうが無理」
制服を握る手が震えてる。
「俺、選んだの岩ちゃんだから」
声、崩れる。
「軽くない。あれは嘘」
「俺、ちゃんと好きなの」
涙、落ちる。
屋上で。
プライド高い及川が。
泣く。
「別れるのだけはやだ」
小さい声。
「俺のこと嫌いになったなら言って」
怖い目。
「でも好きなのに手放すのやめて」
固まる。
あんな挑発してた奴が。
今、完全に縋ってる。
「岩ちゃんがいないなら」
息が詰まる。
「俺、誰といても意味ない」
風が吹く。
静かな 屋上。
泣きそうな顔の
及川徹 。
制服を掴む手が震えてる。
「別れるのだけはやだ」
必死。
でも。
岩泉の目は冷えたまま。
「……そういうのが」
「いちばん嫌いって」
一歩、距離を取る。
掴んでる手を外す。
「お前がいちばん知ってるくせに?」
及川、息を止める。
「冗談で」
「試すとか、軽い男に戻るとか」
「俺の一番嫌うやり方だろ」
「覚悟あってやったんだろ?」
冷たい。
「そんなこと出来る覚悟あるなら」
目が真っ直ぐ刺さる。
「別れるくらい簡単だろ」
空気が凍る。
及川の顔が白くなる。
「……ちが」
「俺を試す余裕あるなら」
岩泉の拳が震える。
「俺いなくても平気ってことだろ」
「違う!」
初めて叫ぶ。
「平気じゃない!」
目に涙が溜まる。
「俺、怖くて…!」
「怖いなら誤魔化すな」
即答。
「俺を使うな」
その一言。
及川の肩が揺れる。
「……使ってない」
かすれ声。
「俺、ただ」
喉が詰まる。
「岩ちゃんに嫌われたくなかっただけ」
涙が落ちる。
「疑われるのがしんどくて」
「でも」
必死に見上げる。
「別れたくない」
震えながら。
「簡単じゃないよ」
小さく。
「岩ちゃんと別れるなんて、簡単なわけない」
一歩近づく。
でも触れない。
触れたら拒まれそうで。
「俺、馬鹿なことした」
認める。
「最低」
自分で言う。
「でも好きなのは本当」
声が壊れそう。
「お願いだから」
唇が震える。
「簡単って言わないで」
岩泉の胸が揺れる。
でも表情は硬い。
「信じられねぇ」
ぽつり。
その言葉で。
及川の呼吸が止まる。
「……じゃあ」
目が赤い。
「どうしたら信じる?」
必死。
「俺なんでもする」
崩れそう。
「時間でも距離でも全部我慢する」
でも最後に。
小さく。
「でも別れるのだけはやだ」
プライド全部捨てた顔。