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「どうしたら信じる?」声が震えてる。
「なんでもする」
必死。
でも――
岩泉の目は揺れない。
「……無理だ」
静か。
それが一番残酷。
及川の瞳が止まる。
「今のお前」
視線が冷たい。
「信じるとかの段階じゃねぇ」
言葉が重い。
「俺を試せる時点で」
一歩、後ろに下がる。
「俺のこと舐めてる」
及川の指が空を掴む。
さっきまで握ってたはずの温度がない。
「違う……」
声が小さい。
「舐めてない」
「じゃあ何だ」
即答を求める目。
でも及川は言葉を失う。
岩泉が息を吐く。
「俺は」
拳を握る。
「好きだから怒ってんだよ」
喉が詰まる。
「でも」
目を逸らす。
「好きだけじゃ無理だ」
その一言。
及川の心が、はっきり折れる。
「……じゃあ」
唇が震える。
「俺、どうすればいいの」
子供みたいな声。
岩泉は、答えない。
答えられない。
沈黙。
それが決定打。
及川の目から、音もなく涙が落ちる。
笑おうとする。
失敗する。
「そっか」
力なく頷く。
「俺、失格か」
岩泉の胸が痛む。
でも、止めない。
止められない。
及川が一歩下がる。
距離が、明確にできる。
「……嫌だけど」
震える声。
「岩ちゃんが無理なら」
ぎゅっと拳を握る。
爪が食い込む。
「俺、引く」
限界まで我慢した顔。
「好きだけど」
涙が落ちる。
「これ以上嫌われるのやだから」
最後に、目を合わせる。
ぐちゃぐちゃの顔で。
「俺、本気だったよ」
それだけ残して。
屋上を出ていく。
ドアが閉まる音。
風の音だけ。
岩泉、動けない。
手、震えてる。
さっきまで掴んでた制服の感触が、まだ残ってる。
“引く”って言った。
でもあれは。
壊れた顔だった。