自傷少女(1)
何もかも、私にとっては意味が分からない
どうしてあの人が私じゃないのかも
どうしてこの人が私じゃないとダメなのかも。
少しでもいいから私のことを見てよ、
好きになってよ、私を。
「きゃー!!ソンフンくんこっちに来て!」
「おい、女子だけずるいぞ!」
今日もかっこいいな、そう思いながらソンフンくんを教室から見る私。
みんなが騒ぐほどかっこいいソンフンくんは、学校一と言われるほどのイケメン。
とても優しくて女子にも男子にも好かれる人気者。
教室でも廊下でも、ソンフンくんを呼ぶ声でいっぱいだ。
そんなソンフンくんに私は密かに恋心を抱いている。
私は性格が悪く、男女共に好かれないため、友達なんか1人しかいない。
どうしてこんな性格になってしまったんだろうとか、性格が良ければ私だって簡単にソンフンくんと話せたのかなとかなんて考えてもどうしようも出来ないことだ。
性格が悪ければ、好かれないことなんて最初から分かってた。それなのに自分の行動は日に日に酷くなっていく。そんな私のことを受け入れてくれる人が1人いるってことさえ奇跡だと思う。
「また皆ソンフンのことで騒いでるんだ?」
皆が騒いでる中、教室に入ってきたのは私の唯一の友達のジェハ。
「うわっ、びっくりしたじゃん!」
「ははっ笑 ○○おはよ」
ジェハは性格の悪い私にいつも優しくしてくれる。高校に入ってジェハと出会うまでは私に友達なんか1人もいなかった。毎日悪夢を見ることだってあった。
私は性格の悪さのお陰で家族とも離れ離れで暮らすようになり、友達だって日に日に減っていった。
だからこそジェハとはずっと一緒にいたい、そう思っている。
そんなある日、ソンフンくんに好きな人が出来たという噂が耳に入ってきた。
確かにソンフンくんは最近休み時間になる度に、教室をすぐに飛び出して行っていた。
廊下に出ると、隣のクラスの△△さんと楽しそうに話しているソンフンくんがいた。
△△さんは、学校内で美人と有名な女の子。同い年だけど近寄り難い存在だ。
私の方が好きなのに、なんで△△さんなんだろう…やっぱり顔?
「最近△△ちゃんとソンフンくんよく一緒にいるよね〜」
「ほんと、美男美女でお似合いだよな」
確かに皆が言う通り、
2人は美男美女で誰がどう見ても認めるほどお似合いだった。だけどどんなに美男美女でも、好きなものはどうしても好きなんだ。それだけは譲れない。
“△△さんからソンフンくんを奪ってやる”
私の頭の中はこの言葉でいっぱいだった。
とにかくソンフンくんにアピールすることからはじめよう。先のことなんか今は考えない。どうしてもソンフンくんを私のものにしたいの。
「とりあえず2人が付き合ってなかったらいいんだけど…」
いや、付き合ってても関係ないか。どうにかしてでも奪わなきゃ。どうせ性格が悪くて嫌われてるんだもの、自分の好きなことをしよう。
私は一瞬ジェハのことが頭に浮かんだが、特に気にしなかった。
しばらくすると、ソンフンくんが教室に戻ってきた。今だ、まずソンフンくんと△△さんの関係を聞かなくちゃね。
「ねぇ、ソンフンくん」
「あぁ○○さん、どうしたの?」
爽やかな雰囲気を持った彼は近くで見るともっとかっこよかった。
「さっき△△さんと一緒にいたよね?」
「△△さんとはどういう関係なの?」
私がそう質問すると、ソンフンくんは顔を赤くした。
そっか。やっぱり△△さんのこと好きなんだ。
でも付き合ってなければ…
「実は俺ら、付き合ってるんだよね」
優しい笑顔でそう言ったソンフンくん。
「…そうなんだ」
正直、ショックだった。聞かなきゃ良かったかな?
なんか、気まづくなっちゃったな…
「あ、このことは誰にも言わないで欲しいな」
言わなくても皆気づいてると思うけどな、そう思ったがとりあえず返事しといた。
「うん、わかった」
やっぱり付き合ってたのか、ガッカリしながら自分の席に着くと隣の席のジェハが話しかけてきた。
「ねぇ○○」
「ん?」
ジェハは少し不思議そうな顔をしていた。
「ソンフンと何話してたの?」
「別に何も話してないよ、数学教えてもらっただけ」
「何だそれ笑 ○○ほんとかよ笑」
いくら性格が悪いとはいえ人の彼氏を奪おうとしてるなんてことを知ったら、流石にジェハも私から離れていくだろう。そう思うと怖くて言えなかった。
絶対ジェハにはバレないようにしなくちゃ。
放課後になりジェハと2人で廊下を歩いていると、窓の外から男女の楽しそうな声が聞こえてきた。その声にはとても聞き覚えがあって。
窓の外を見ると案の定、ソンフンくんと△△さんが2人で楽しそうに帰っていた。
「ソンフン、△△さんと付き合ったらしいね」
「そ、そうみたいだね」
ほらね、もう広まってる。私が言わなくても広まるくらいこの2人は学校で人気なんだ。
それにしてもジェハの口からそんな言葉が出るなんて、恋愛なんか興味なさそうなのに。
「○○は好きな人いるの?」
「え、何よ急に」
急なジェハからの質問に戸惑う。
「そういうジェハこそどうなのよ」
「俺?俺は…秘密!」
意地悪な笑顔でそういうジェハを見ると自然と笑みがこぼれた。
「何よそれ笑 私だって秘密だし笑」
「やっと笑ってくれた」
「え?」
またまた急な発言に戸惑いを隠せなかった。
「ずっと落ち込んでるみたいだったから、心配してたんだよね。あとで俺の家くる?」
今度は優しい笑顔でそういうジェハ。
「…お邪魔します笑」
「おっしゃ笑 ほら行くぞ」
そう言って私の手を引っ張って廊下を走りはじめた。
「ちょ、速いって!待ってよ〜」
私の言葉を無視して学校内を走り回るジェハ。
そんなジェハを見てまた、ジェハとはずっと一緒にいたいと思えた。
ジェハのことは大切にしないとな…
ジェハみたいないい人は他にいない、手放しちゃいけないってことは性格の悪い私でも分かった。
いや、性格の悪い私だからこそ分かったことなのかもしれない。
To be continued…
コメント
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ちょるちゃん!!! お久しぶりんぶりん!! なんだよこの話、 ○○ちゃん私みたいじゃねぇかよ・・・(え?)
おお、!雰囲気好き…! (多分前会った時と名前変わってるけど分かる…?)