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『迎えに来た人』
tg視点
tg ……今の音、なに?
リビングに戻ったとき、ドアの前のモニターがまだ赤く点滅してた。
しおたんは、俺の手をそっと握りながら言った。
so 気にしなくていいよ、ちぐちん。大したことじゃないから
tg ……でも
俺の心臓が、どくん、どくんと脈打つ。
さっきの警備音――あれは、どこか“いつもの音”とは違っていた。
何かが、変わりはじめてる。
so ねえ、ちぐちん
tg …なに?
しおたんの声は、やさしくて、あたたかくて、
でも、少しだけ、冷たかった。
so 誰が来ても、俺はちぐちんを渡さないから
tg ……うん
おそう答えながらも、胸の奥がざわざわしていた。
カタ、カタッ――
玄関のほうから、小さな音がした。
so ちぐちん、座って。お水、持ってくるね
しおたんはキッチンへ向かった。
でも俺は、足が勝手にドアのほうへ動いた。
覗き穴の先、誰かの気配。
手が、震える。
でも、怖いものじゃない気がして――そっと、ドアに耳をあてた。
「ちぐさ……? 中にいるの?」
女の人の声だった。
母さんじゃない。先生でもない。たぶん、友だちの……あの子。
「心配で、来たんだ。連絡つかないし……」
その声に、心がぐらりと揺れる。
“ここじゃない場所”が、
ほんの少しだけ、懐かしく思えてしまった。
でも。
so ちぐちん、なにしてるの?
びくっ、と肩が跳ねた。
後ろを振り返ると、しおたんが笑ってた。
いつもの笑顔。
だけど、目だけが笑ってなかった。
tg ……ドアの音、気になって
so そう。じゃあ――もう、見なくていいよ
ぐっと手を引かれて、リビングの奥へ連れ戻される。
ソファに押し込まれて、首輪のリードがゆっくり巻かれた。
so ちぐちんは、俺だけ見てればいいの。ね?
その瞬間、玄関からノックの音がした。
強く、何度も。
「ちぐさ! いるんでしょ!? 開けて!」
その声が――すぐそばまで来てるのに。
俺は、ただ、リードを握るしおたんの目を見てた。
そして、知らず、口が動いてた。
tg ……しおたんのそばに、いたい
その言葉に、しおたんの目が、すっと細くなる。
so ね? やっぱり、ちぐちんは可愛い
そのとき――
カチャッ。
玄関のドアが、外側から開く音がした。
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コメント
5件
えー!?!? どうなっちゃうの…!?気になる~ッ!!! 続き楽しみにしてるねん!😽︎💞